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続・ユリアンのイゼルローン日記
第一章 初体験
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それよりも、明らかに手が込んだものが食卓に並んでいたんだから。

ヤン艦隊の旗艦であるヒューベリオンの艦橋に足を踏み入れた時には比喩でなく足が震えた。
ヤン提督の背中越しに見た艦橋では既に多くの同盟軍軍人のみなさんが忙しなく動き回っていた。
オペレーターの機械をチェックする声、他の艦からの連絡を伝える声、その他様々な声が飛び交う艦橋の様子に僕はただただ圧倒された。

「司令官閣下!ご苦労様であります!」

その時初めて会ったのがヒューべリオン艦長アサドーラ・シャルチアン少佐だ。
浅黒い肌に精悍な顔付きの如何にも軍人という感じの人だ。
僕はヤン提督の被保護者であり、従卒でもあるので、ヤン艦隊のいわゆる幹部と呼ばれる人達とはほぼ面識があるのだけれど少佐とは初対面だった。
ヤン艦隊旗艦の艦長という重職にありながら今まで面識が無かったのは少佐がとことん現場の人であるかららしい。
これは後でグリーンヒル大尉から聞いた話なのだけれど、少佐はとにかくヒューべリオンから離れないそうだ。
暇さえあれば艦のチェックをしているそうで、要塞内の少佐のフラットは綺麗なままなのだそうだ。

そして今日改めて思い知らされたのがヤン提督の偉大さだ。
艦橋の中はピリピリとした緊張感が漂う。
若輩者の僕でも感じ取れるほどだ。
これが初めての戦艦乗船なので、あまりハッキリとは言えないが、やはりいつもとは違う雰囲気だったのではないだろうか。
何しろこれから戦うのは同胞たる同盟軍の部隊なのだ。
帝国軍と戦いに赴く際とは違って当然なのではないだろうか。
そんな中でも提督は全くの自然体だ。
勿論そのお心の中までは分からないけれど、少なくとも司令官席に座るその後姿からは緊張とか、旬順といったものは全く感じられない。
提督を囲むように座るヤン艦隊の幕僚の一人、ムライ少将から目的地を問われ、提督は短くこう答えた。

「最終的にはハイネセンへ」

いよいよヤン艦隊が出動する。








七九七年 四月二十一日


緊張感も高揚感もそう長続きするものではない。
戦艦搭乗二日目にしてこんな事を書くとは我ながら中々に図太い神経をしている。
まあ、単純にやる事が無さすぎるというのもあるのだろうけれど。

僕はあくまで司令官の従卒、平たく言えばヤン提督の"オマケ"として艦に乗り込んでいる身だ。
仕事といえば提督のお世話をするという事になる。
ただいくらキャゼルヌ少将に良く言って給料泥僕と言われるようなヤン提督であっても四六時中僕に何かを命じる訳ではない。
いや、寧ろ提督が僕に何かをお命じになる事の方が少ない。
精々艦橋で開かれる会議の際に紅茶を淹れるくらいの事しか頼まれない。
元々提督はその地位にも関わらず尊大な
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