第一章 初体験
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も子供が戦場に出る事自体が間違いなんだ。
ユリアン。お前はもう自分は子供じゃないと主張するのかもしれない。
確かにお前は軍属とはいえ、戦艦に乗る立場の人間だ。
直接戦闘行為に関わらないとはいえ、ね。
そしてそれはお前が自分で決めた事だ。
私も強く反対はしなかった。
お前の意志というものを尊重したかったからだ。
だがなあ、ユリアン」
僕はまっすぐ提督を見ながら話を聞いていた。
一言も聞き洩らさないように。
提督の話を聞く時間は僕にとって、掛け替えのない大切なものだ。
この時代、いや人類が宇宙に進出してからだってヤン提督以上の軍人なんていやしないだろう。
もしかしたら、それ以前だって。
こんな事を提督が聞いたら、さぞ呆れられる事だろう。
絶対にこの日記は提督には見せられないな。
さて、話の続きを書こう。
「戦場を恐ろしいと思うのは、人として当然の事だよ。
お前にはいつまでも、そういう、感性と言えばいいのかな。
人として正しい感性を持ち続けていてほしいと、私は願うよ。
例えおまえがこの先どういう道を歩むとしてもね」
未来、僕の未来か。
一年後の僕はどうなっているかは分からない。
希望通り軍人となっているのか、なっていたとしても無事生き残っているのか。
考えても仕方ない事は分かっているけれど、考えずにはおれなかった。
一年前の僕は何を考えていたのだろう。
日記をつけていたわけではないから、はっきりとは分からないけれど、やっぱり軍人になりたいとは思っていただろうな。
まさか、イゼルローン要塞で日記を書いてるとは想像もしてなかっただろうな。
(調べてみると、一年前の四月二十七日にヤン提督はイゼルローン要塞攻略に出発している。勿論その時はまさか提督がイゼルローン要塞攻略に赴いているなんて知らなかったが)
遠い未来はともかく、近い未来は決まっている。
明日はいよいよ出撃だ。
七九七年 四月二十日
今日という日を僕は後々まで忘れる事はないだろう。
いよいよイゼルローン駐留艦隊、ヤン提督率いる自由惑星同盟軍第十三艦隊が出発を迎える日だ。
そしてこの僕ユリアン・ミンツもヤン艦隊司令官の従卒として、旗艦ヒューべリオンに乗り込むんだ。
未だ正式な軍人となったわけではないし、旗艦の中で正式な居場所を与えられた訳ではないのだけれど。
それでも初めての軍艦。初めての戦場。
そして戦うヤン提督を間近で見られるんだ。
朝から興奮を押さえ切れなかった僕はいつもより二時間も早く目を覚ましてしまった。
ヤン提督は何も仰られなかったけど気付かれてはいたんだろうな。
何しろ朝食がいつもの
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