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続・ユリアンのイゼルローン日記
第一章 初体験
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ヤン艦隊は当初の目的を変更しドーリア星域へと向かう事になった。
例のバグダッシュ中佐より新しい情報がもたらされた為だ。
ルグランジュ中将が率いる同盟軍第十一艦隊がクーデター側に加担し、此方に向かっているとの事。
この情報自体は二日前に入手していたそうなんだけど。
本日行われていた艦橋会議でその情報の正しさが確認された。
遠く三千光年の彼方から"敵艦隊"がやってくる事になったわけだ。

艦隊戦。

一万隻を越える軍艦の集団がぶつかり合う本物の戦い。
不思議と緊張も興奮の感慨も湧いてこない。
全くないわけではないけれど。
ヒューべリオンに乗り込む前やシャンプール戦に臨む前を荒波とすれば、さざ波と言える程度のものだ。

緊張なんて然程持続しないものだから、なんて冷めた事は言うまい。
僕はハッキリと分かってしまったんだ。
自分がただの無力な子供でこの艦に於てはお荷物にすらなれないという事を。

現実って一体なんなんだろう。
戦争って一体なんなんだろう。
人を殺すってどんな気分なんだろう。

僕達が生きているこの世界はもう百五十年以上も戦争を続けている。
だから今この宇宙に暮らす人達はどんな年配の方でも戦争のない世界を知らないという事になる。
だから戦争と共に生きてゆくのが僕らの現実というわけだ。
誰かに殺される前に誰かを殺す。
相手が同国人であっても殺す。
自分の大切な誰かを守る為に自分の手で他者の命を奪う。
人類が宇宙に飛び出す前から幾度も繰り返されてきた人の営み。
もうすぐ、いや、もしかしたら僕の予想よりも早く"その時"は訪れるのかもしれない。
















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