第一章 初体験
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、ムライ少将の表情は(こういう言い方も甚だ失礼だが)中々に見物ではあった。
無事作戦を終え、現地住民からも"熱烈"な感謝を送られた指揮官に対し労ってやりたい気持ちはある。
ただ軍人としての風紀を考慮するなら一言あって然るべきだろうか。
しかし未だ作戦行動の全てが終わった訳ではなし・・・
我ながら妄想が過ぎると思うが、参謀長の表情が普段見慣れないものである事だけは確かだった。
パトリチェフ准将などは素直に准将の"戦果"を羨ましいと誉め称えててはいたが。
ちなみにグリーンヒル大尉はこの時艦橋にはいらっしゃらなかった。
朝から頭痛がするとの事で今日は一日医務室で休まれていたんだ。
大尉がこの場に居たらどんな顔をされていたんだろう?
何事もなさそうに平然と准将を出迎えたのではないだろうか。
以前にも聞いたのだけれど、これくらいの事で反応しているようでは男社会である軍隊生活はやっていけないのかもしれない。
ただまあ、シェーンコップ准将のような"戦果"を持ち帰る軍人もそうはいないと思うけれど。
グリーンヒル大尉のお立場を考えると何とも遣りきれない気持ちになる。
自分の実のお父さんを相手どって戦わなくてはいけないなんて・・・
提督は大尉を副官の任から外さなかった。
それを聞いた時は提督はやっぱり大尉を信頼しているんだなと、嬉しくも思ったものだけれど、考えてみればそれは残酷な事ではないのだろうか。
いや、勿論ヤン提督が僕が思い付くような事を考えていらっしゃらないはずはないし、そんな事情も考慮の上での決断ではあるのだろうけど。
確かに任を解かれ、何もする事もなく、ただ悶々と日々を過ごすよりは信頼する上官の元で働いていた方がマシなのかもしれない。
僕なんかと比べても仕方ないのだけれど、何もしない、何も出来ないという状況は辛いものだ。
大尉のように有能な方なら余計にそうなのかもしれない。
ただそれでも、やはり何処かで負担は掛かっていたのだろう。
大尉が明日には元気になってくれているといいのだけれど。
今日はこれで日記を終えようかと思ったのだけれど、もう一つトピックがあったのを忘れていた。
シャンプールを攻略後、ハイネセンからバグダッシュ中佐と名乗るクーデター派の軍人がシャトルに乗ってやって来たんだ。
中佐への尋問は会議室で行われ、残念ながら僕は中へ入る事は出来なかった。
後から聞いた話では、現在のところ首都で粛清された人はいないとの事。
それは一安心なのだが、その後中佐の事を訊ねた僕にヤン提督が見せた笑いは何だったのだろう?
詳しくはシェーンコップ准将に聞けとの事だったのだけれど。
七九七年 四月二十九日
「全く面白くない!
なんだってあの不良中年ば
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