244部分:第十七話 熱心に祈るあの男その八
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第十七話 熱心に祈るあの男その八
そうしたことを話してだった。彼はだ。ホルニヒに対してだった。
その青いものを見つつ。こうも述べた。
「青い薔薇がこの世を覆い」
「この世を」
「戦いも覆ってしまえばいいのだがな」
「戦いですか」
「戦いなぞなくなれば」
何処までも戦いを嫌っての言葉だった。
「そうなればいいのだが」
「では陛下。次の戦いも」
「避けられはしない」
また言う。わかっているとだ。
「だが。避けたいものだ」
「そうですか。どうしても」
「避けられないものでも避けたい」
矛盾している。しかし矛盾していてもだった。
王は今はそれを求めていた。戦いを避けることをだ。
「因果なものだな。この国と」
「フランスとですね」
「この国の美は替え難い」
今もその美を見ている。その中でだった。
王はまずは寺院に入った。そこはだ。
黄色をベースにして青と緑、それに赤で主の誕生を描いたステンドガラスがあり黄金の十字架には主がかけられている。
左右対称に席が並びその中央に通路がある。白い天井の高いその教会の中に入ったのである。そしてその教会の中で、であった。
その中に入りだ。王はだ。
礼拝に向かおうとする。だがホルニヒはだ。
ここでだ。教会の神父に呼び止められたのである。
「何か」
「あの、どちら様でしょうか」
神父はだ。彼等の身分を尋ねてきたのである。
「礼拝に来られたと見受けられますが
「はい、そうです」
その通りだとだ。ホルニヒはその神父に答えた。
「そうさせてもらって宜しいでしょうか」
「はい、それでは」
「神父殿か」
王もだ。その神父に気付いてだ。それでだった。
ホルニヒに対してだ。こう言うのだった。
「それではだ。教会にだ」
「寄付ですね」
「そうだ。それをしよう」
王はカトリックだ。カトリックの信者として寄付を忘れてはならない。彼の信仰心はそれなりに篤いのだ。それでホルニヒに対して言ったのである。
「そのことについてだが」
「私にお任せ下さい」
寄付についてはだ。自分がするというホルニヒだった。
「そうして宜しいでしょうか」
「そうか、それではだ」
「はい、それでは」
こうしてだったホルニヒがだ。
神父に対してだ。静かにこう言うのであった。
「それでなのですが」
「そうしたお話はです」
神父も気を使ってだ。礼拝堂ではというのだ。
「こちらで」
「それでは」
礼拝堂から出てだ。他の場所で話をすることになった。こうして礼拝堂には王一人となった。そう、一人になった筈であった。
だが礼拝堂、十字架の主の前に一人いた。それは。
白いマントを羽織っている。そして兜だ。銀色の兜には白鳥がある。主の前
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