243部分:第十七話 熱心に祈るあの男その七
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第十七話 熱心に祈るあの男その七
「戦いなぞ。何になるというのだ」
「陛下はあくまで戦いを避けたいと思われますか」
「そうだ。それが受け入れられないのはだ」
嘆きをだ。その言葉に実際に出していた。
そうしてだ。その言葉にだ。嘆きを含ませてだった。さらに言うのである。
「悲しいことだ」
「そういえば陛下は」
「赤十字のことか」
「はい、支持を表明されていますね」
「戦いがなくならないのなら」
それはもうわかっていた。わかっていての嘆きなのだ。
「それならばだ」
「傷つく者は少しでも少ない方がいい」
「傷を癒せる者がいてもいいではないか」
王の考えはそこにあった。彼は戦いで傷ついた者達のことを考えていた。
そうしてだ。赤十字を支持しているのだった。
「違うだろうか」
「私はです」
「そなたはどう考えている」
「同じ考えと言えば媚になるかも知れませんが」
それでもだというのである。
「ですが。戦いで多くのものが壊されるということは知っているつもりです」
「命もだな」
「その命が少しでも救われるのなら」
「いいな。それで」
「はい、そう思います」
こう王の言葉に賛同するのだった。
「やはり。それは」
「そうだな。戦いの傷は少しでも癒されるべきだ」
「はい、そして」
「そして?」
「花だ」
それに話を戻したのだ。花をだ。
「花は。戦いよりも尊ばれるべきだ」
「花、そして美はですか」
「そう思う。特に青い花だ」
王が好きな色だ。それこそがまさに青なのだ。
「青い花が最もいい」
「ジャスミン等ですか」
「ジャスミンもチコリもだ」
どれも青い花だ。王は何処までも青い花を愛していた。
そしてだ。さらにであった。王はこの花も話に出した。
「ヤグルマギクもだ」
「その花もお好きですか」
「あの花は。ドイツに相応しい」
彼等の国にもだ。いいというのである・
「青はいい。何処までも澄んでいる」
「そしてバイエルンの色ですね」
「そうだ。それもある」
そのだ。バイエルンの青だからだともいうのだ。
「バイエルンの青だ」
「それが陛下の愛する色だからこそ」
「人は何時か青い薔薇も生み出すだろう」
王は薔薇も愛している。しかしなのだった。
青い薔薇はない。これはこの世の誰もが知っていることだ。
しかしである。王はだ。その青い薔薇が何時か生まれるというのだ。
それを聞いたホルニヒはだ。流石にだった。
いぶかしむ顔でだ。こう言ったのであった。
「ないのではないでしょうか」
「そう思うか」
「はい、青い薔薇はです」
それは不可能、現実にはないことの例えでもある。だからこそだ。
彼はだ。それはというのである。
「ないかと」
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