動き
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それが睨んでいるのではなく、真剣であるという意味ということに気づいたのはいつのことか。最も、彼の情報を集めれば、さらに真剣になればそこから笑いだすという。
まるでホラーだなと思ったものだが。
「また、来てくれるとリアナも。ライナも喜ぶと思うよ。それで」
促した言葉に、アレスは頷いた。
「先日の話ですが。少し耳に入れたいことが」
「……」
アロンソはしばらく考えた。
目の前の人物が真剣になるということが、恐ろしく感じる。
アロンソにとっては先日の席は、良くも悪くも私的な会合だったはずだ。
で、あるのに。
聞かないという選択肢もあるだろう。
だが、それはアロンソの経験が全力で否定をする。
「わかった。そこに休憩スペースがある」
「お時間は大丈夫なのですか」
「仕事はあるが。そんな目をされたら、この後は仕事にならんよ。大丈夫だ」
アロンソが先導して、休憩スペースへと向かう。
そこは自動販売機と椅子が並べられたわずかな空間だ。
先客が数名いたが、アロンソが小さく咳払い。
「申し訳ないが。少しだけ出てくれるか?」
真剣な表情のアロンソに言われ、先客は慌てたように敬礼をする。
「すみません!」
なぜか謝罪を口にして、先客は慌てたようにコーヒーを飲んでむせた。
アロンソが入って、数秒のことだ。
手にしていたコーヒーを空きカップをゴミ箱に入れて、逃げるように出ていった。
アレスも謝りたい気分であったが。
先客がいなくなり、広くなった空間でアロンソは自動販売機に近づいて、コーヒーを二つ。
一つをアレスへと差し出した。
「ありがとうございます」
礼を言って、逃げるようにいなくなった先客に背を向けた。
「大丈夫ですか」
「なに。本来、ここはこういう目的に作られているのだ。秘密の話をするようなね」
違うかなと視線を向けられて、アレスは頷いてコーヒーを飲んだ。
にがっと小さく呟く。
「コーヒーは苦手だったか」
「飲むのは戦いの後くらいですかね」
「嫌な戦いの後に、なぜ嫌いなものを」
「昔からの癖なんです。一仕事終わった後はコーヒーだっていう先輩がいましてね」
「ワイドボーンか?」
「いいえ。アロンソ中佐は知らない人ですね」
首を振って、アレスは答えた。
どこか寂しさを見せる感情に。
「そうか」
と、アロンソは質問を終わらせた。
「それで。何か話が」
「ええ。先日お邪魔した時の話です――奥様と商談されていた方は」
「知らないな。信じられなくても仕方がないが、お互いの仕事については聞かないようにしている。彼女がどんな取引をしているか私は知らないのだよ」
「そうですか。では――お伝えします。名前は知りませんが、彼
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