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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
57話:憂鬱
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てお役に立てるのか?とも思いますが、お付き合いする中で気持ちの良い方々ですし、軍に入って少しでも彼らに並べればとも思うのですが......」

そこまで話を聞いて次代のリューデリッツ伯には軍人というより、官僚や経営者としての資質の方が高いと思った。世の中には往々にして、才能と志向が一致しない事の方が多い。彼の父親もそうだった。今となっては温かい思い出だし、広言するつもりはなかったが、まずはその辺りから話を始めよう。

「確かに思い返すと、私も士官学校へ進路を取る学友が多い中で、地方自治系の大学へ進学することに、変な罪悪感を感じた記憶があるよ。ましてや、入学以来、学年首席で通していた後輩が、家の都合で士官学校へ行くが、本来は経済系の大学に進学したかったと、本音を漏らされた時は驚いた。そんなことを言いながら、士官学校へも首席合格したから大したものだとも思ったがね」

「それは父上の事でしょうか?そんなお考えだったとは聞いたことはありませんでした」

次代のリューデリッツ伯はかなり驚いている様だ。まあこういう話は、親子で話すには少し気恥ずかしい部分もあるだろう。私も、娘のヒルデガルドと将来こういう話が出来るかといえば厳しいと思う。

「まあ、当時から広言できる話でもなかったからね。御父上は、幼いころから領地の発展に貢献されていたし、私自身も、父が高齢で早く領地経営を担わなければならなかったからね。家の事情で人生が決められたようなものだから、お互いに本心を洩らす間柄だったのだよ」

ここで手元のティーカップを手に取り、のどを潤す。大人ぶりたいのだろうか?面談相手の少年もお茶を飲むが、砂糖を入れなかった。よく当家に来るヴェストパーレ男爵家のマグダレーナ嬢は、さらりと砂糖を2匙入れるが。続きをせかすように視線を向けられる。

「ここだけの話だが、二人だけになった時には『100万の敵を撃滅するより100万の臣民を養う方が大業だ。』と言っていたものだ。実際問題、戦争状態が続いているから敵を屠る事に目が行きがちだが、本来は臣民により良き明日を。次の世代ではもっと豊かになっているという希望を持たせるのが統治者の役目だし、これは比較することではないが、決して容易にできる事ではない。リューデリッツ卿はそちらの適性が高そうだ。今すぐ結論を出す必要はないが、必ずしも軍人を志向する必要は無いと私は思うがね......」

「確かにそうですね。少し、目の前の霧が晴れたような気がします」

少しは少年のお悩み解決に役立てたようだ。では、近々の私の悩み解決にも貢献してもらおう。

「あまり焦らずに考えてみれば良いのではないかな?ところでまだ迎えの時間まで間がある。良ければヒルダにも挨拶してやってくれぬか?ヴェストパーレ男爵家のマグダレーナ嬢も遊びに来てい
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