第四章
第39話 再登場
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神降臨から一週間が経過した今日。
城では、降臨を祝うパーティが開かれていた。
どんなかたちでやるのだろうと思っていたが、立食形式での昼食会となった。
使われている場所は、城正面の広い庭である。
この場所、この形式にした理由――それを爺に聞いたところ、「人がいっぱい来るから」というごもっともな回答が返ってきた。
たしかに、人がたくさん来るのであれば屋外のほうが広くてよいし、城の庭なら水堀で囲まれているので、出入り口は限定されている。持ち物検査もしやすく、セキュリティという面でも安心だ。
現在、開始から一時間くらい経過している。
神は、一番門側に置かれたテーブルのところにいる。俺のところからは少し離れているが、背が高すぎるため、どこにいるのかはすぐにわかる。
今は立派な服を着た人に囲まれている。偉い人が入れ代わり立ち代わり、神に挨拶をしているようである。
神は内心面倒だと思っているのかもしれないが、事前に口酸っぱく言っておいたので、今のところ顔には出ていない模様である。
自分としては、神が問題を起こしたりしないだろうかと心配だった。なので、パーティが始まった直後から観察をしていた。
最初は、国王が神のすぐ隣にいた。
談笑かと思いきや、国王はノートのようなものを片手に、真剣な表情で神と会話をしていた。
会話の内容まではわからなかったが、国王はこの前「せっかく神が来てくれているのに忙しくてゆっくり話を伺う時間がない」と愚痴をこぼしていたので、相談したかったことをここで消化したのだろうと思う。
三十分くらいしたら、国王は頭を下げて離れていった。
もっと話したそうな顔をしていたが、他の参加者へ気を遣ったのだと思う。ずっと二人で一緒に居続けると、他の人が入り込めないだろうから。
その後も今に至るまで、チラチラと神のテーブルをチェックしてきたが、今のところ特に問題はないようだ。
心配しすぎだっただろうか?
――ふう。
少し緊張が解けてしまったのか、どっと疲れを感じてしまった。
俺は、この場に城関係者以外の知り合いなどいない。だがクロの姿を見ると、参加者が寄ってきてしまう。そのため、結果としていろいろな人と話をすることになってしまった。
もともと、あまり人が集まる場は得意ではないし、このような場で偉い人との会話を楽しめるタイプでもない。神の様子も気にしながらの対応だったので、かなり消耗はしたと思う。
少し頭がクラクラする。酒を飲んでいないのに、酔っているような感覚がある。
料理もまだ一口も食べていないが、いまいち食欲は湧かない。
「あ、いた! リク!」
――げっ。この声は。エイミーじゃないか?
振り向いたら、やはり孤児院の子供
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