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天使のような子に恋をした
天使のような子が家に遊びに来た
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りの状況だ。そう意識した途端、猛烈に気まずくなってきた。別に居心地が悪いという訳ではないけど、どうしても二人っきりという現実を突き付けられて俺の理性を刺激してくる。

 ことりもそれに気付いているのか分からないが、妙にそわそわしていて落ち着かない様子だった。

 こんな状況下で、俺が取るべき行動は──

「お、俺、お茶淹れてくるわ!」

「あ、う、うん! いってらっしゃい!」

 そう、逃げの一択である。

 いや、ほんと。我ながら情けないとは嫌でも理解している。しかし、こうでもしなければあまりの気まずさに色々とおかしくなりそうだった。だから間違ってはいないはず。

 お茶を淹れるにしても、少々落ち着いてから戻った方が良いよな……? すぐ戻っても気まずいだけだろうし、何より会話が続かない。ここはひとつ、この後何をするかということを含めて考えた方が良さそうだ。


 ◆


 私──南ことりは今現在、とても緊張しています。心臓がドキドキと早鐘を打ち、どうしてもそわそわしてしまって。何しろ初──厳密に言えば二回目──の男の子の家。緊張しない訳ないよね。それも、初恋の男の子の家なんだから尚更だよ。

 蒼矢くんも私の様子に気付いていたから、気を遣ってお茶を淹れに行ったのだと思う。……見透かされているようでちょっと恥ずかしいけど。

 前回の、蒼矢くんが風邪を引いた時のお見舞いの状況とは全然違う。あの時は穂乃果ちゃんや海未ちゃん、蒼矢くんのお友達の翔真くんだっていたけど、今回は私と蒼矢くんの二人っきり。

 これって、実質“おうちデート”だよね。

 どうしよう。まだ付き合ってもいないのに、こんなことしちゃっていいのかな。私としては全然いいんだけど、やっぱり物事には順序というものが──って、蒼矢くんとは既にデートもしてるんだから何を今更って感じだね。

 とりあえず──一旦落ち着こう私。折角蒼矢くんの家に来たのにいつまでも緊張していては勿体ない。寧ろ今の状況はかなり進展したとも言える。蒼矢くんに一目惚れしてから一ヶ月ちょっと。正直に言えばかなり嬉しい。

 気分を落ち着かせて、蒼矢くんの部屋を見渡してみる。男の子の部屋ってどうしても散らかっているイメージがあるけど、蒼矢くんの部屋は全然そんなことはなく、きちんと整理整頓されていてとても綺麗だった。

 また、蒼矢くんの──好きな人の匂いがいっぱいに詰まった部屋。こんな変なことを考えるなんてやっぱりテンションが上がってるのかもしれない。

 そういえば、今蒼矢くんのベッドに座ってるんだよね、私。水色を基調としたマットレスにふかふかの布団と低反発枕。この布団の中に入ったら蒼矢くんの匂いに包まれるんだろうなぁ……。

 ……私、本当に何考えてるんだ
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