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Fate/BBB ー血界戦線・英霊混交都市ー
HLはすげーよ、確かにすげー。でも無敵か最強かと言われればそれはまたちょっと違う話なんだよなー、という短編集
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か不幸か悪とは違う生き方の面白さを知ってしまった男は、どちらでもある存在になった。そしてカルデアという枷がないこのHLでは、ありていに言うと血が疼いていた。

 ここはかつて彼のいた亜種特異点、新宿に似た空気がある。それでいて、これという定石がない。善を為そうが悪を為そうが大丈夫なときは大丈夫だし、無理なときは無理だ。そしてどうしようもないくらいに悪と呼べる力が強すぎるのに、正義は当然のごとく存在し続けている。すべてが混沌、すべてが出鱈目。上限を吹き飛ばして無限のレイズが続く終わりのないエスカレーターだ。

 ――最高だ。回顧至上主義の神秘法則がアテにならないというのが実にいい。

 そもそも彼は剣だ槍だではなく、こういった人があっさり死ぬ現代でこそ輝く存在だ。
 彼の行動は早かった。表向きライブラの協力者としてしたり顔でデータを仕入れて事件解決に協力しながら、過去のあらゆる事件や技術をその知能にて吸い上げていった。彼が持つ元来の胡散臭さが直感スキルの類を惑わしたし、彼としてもHLという「最高の遊び場」が無くなってしまうのは忍びないから真面目に動くことも多かった。

 残念ながら悪行についてはホームズや警察、個人レベルで止められることも多かったが、足はつかなかった。逆に悪と悪の戦いとなると、それはそれはスリリングだった。相手に困らないしあらゆる状況を作れる代わりに、失敗すれば自分は消し飛ぶ。そんなスリルを楽しむ自分が悪性の存在であると自覚させた。

 そんな折、彼はとあるモノを見つける。それは、このHLにおいて恐らく殆どの人が意味を見いだせない些細な事だったが、彼の嗅覚はそれが極めて重要な意味を持つことを悟った。
 とある病院の敷地内にある墓地の、その近くの小さな丘を舞う幻想的な蝶。
 彼はそれにゆっくりと手を伸ばし――。

「ゲームをしよう」

 声に、止められる。

「おっさん、俺が何だか当ててみな。お前は――俺の名前を知ってるだろ?」
「ヤレヤレ、実に難しい質問だネ……『絶望王』クン?」
「ちぇっ、正解ってことにしといてやるよ」

 別段、顔を合わせる機会があった訳でもなければよく知りもない相手を、彼は振り返りもせずにそう呼んだ。判断理由はサーヴァントだからこそ感じられる魂の異質さ、この場所に好んで来るだけの理由がある人物、その他諸々の要素を組み合わせて浮かび上がった名だ。厳密には、名とは言えないかもしれないが。

「なんの理由があるかまでは知らねえが、ソイツにちょっかいかけるのはやめてくんねぇかな」
「蝶が蝶に惹かれてはおかしいかな?」
「アンタ毒蝶だろ、ジェームズ・モリアーティ?」

 一体いつから見ていたのか、彼――モリアーティの背後には男が立っていた。
 年齢は20〜30代。特徴の薄い
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