第6章:束の間の期間
第176話「深まる謎」
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め込まれただけです』〉
「『そうか……』」
アロンダイトの返答に、どことなく予想していた事とはいえ、落胆する帝。
やはり、優輝に何か聞くべきだと思い、歩みを速めた。
「(……天使に、魅了の力を授けた存在。何か、大きな“モノ”が動いている……そんな気がする……)」
〈……マスター〉
直感系の能力もないのに、帝は嫌な予感を感じていた。
そんな帝に、エアが話しかける。
「……エアか」
〈気を付けてください。優輝様は……確実に内に何かを秘めています。なのは様や奏様に宿っているであろう、天使と同じように、何かを……〉
「……何?」
エアの言葉に、帝は足を止める。
明らかに聞き逃せない情報だったからだ。
「どういうことだ。……エアは、何を知っているんだ?」
〈私も、大したことは知りません。ですが、以前優輝様とは別にそういった存在を見ました。はぐらかされはしたものの、何かがあるのは確実です。そして、その存在と関係があるであろう優輝様もまた、何か……〉
「…………」
珍しく本気で心配してくるエアに、帝も黙り込む。
このまま不用意に優輝に聞きに行くのは得策ではないと思えてきたのだ。
「……それは、誰の事だ?“あいつが関係する”……つまり、あいつとは別なんだろ?」
〈……はい。ですが、優輝様と表裏一体だと思われます。おそらく、別人格かと……〉
それは、以前神降しの反動で優輝が優奈になっていた時の話だった。
帝が塞ぎ込んでいる時に優奈が来た際、エアは送り届ける時に尋ねていた。
どのような“存在”なのかを。
「別人格……か。あの天使みたいなものか?」
〈おそらく、似たようなものだと思われます〉
敢えてエアは優奈の名は出さなかった。
それの理由が帝を傷つけないためなのか、確信を持てないからなのかは、エア自身にも分からないようだったが。
〈ともかく、用心に越したことはありません〉
「……そうだな」
足を止めて、帝は考え込む。
誰が“安全”なのか、帝には分からなかった。
優輝も“安全”ではないと思い、どうするべきか一考する。
「……それでも、聞かないといけないかもしれない……」
〈……そうですか。まぁ、マスターに従います〉
「止めないのか?」
〈覚悟の上で行くのであれば〉
力強いその言葉に、帝は思わず笑みを漏らす。
「つくづく出来たデバイスだぜ」
〈神様謹製ですから〉
「俺には勿体ないくらいだな」
〈今更ですか?〉
軽口を叩き合い、帝は再び優輝の部屋へと向かう。
「……あいつとは、そんな長い付き合いじゃないが、それでも悪人とは思えない。俺た
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