第四章
第38話 降臨
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を調達でき次第」などと言っていた。そういうことだったのか。死体を再利用して地上に降りてきたのだ。
だが「どうだろうか」と言われてもね、である。
「何となく神さまっぽい見かけですし、まずくはないでしょうけど……。死体だと、そのうち腐ってきたりしないんですか?」
ぱっと浮かんだ懸念を指摘した。
何日かして体が崩れ出したりしないかと心配になる。ゾンビと一緒に過ごすのは嫌だ。
「その心配はない。お前が――」
「あ! 神さまかな?」
びっくりした。カイルが起きてきていたようだ。
「起きてきたのか。ああ、この人が神さまだよ。体は借り物みたいだけど」
「おー。神さまはじめまして! 握手してもらってもいい?」
この金髪少年は、初対面の相手でも簡単に踏み込んでいく。
神は、何の迷いもなく差しだされた彼の手を、少し見つめた。
そして俺のほうに顔を向ける。
「……手を握ればよいのだな?」
「そうですね。あなたも手を出して握ればよろしいかと。人間の挨拶です」
「へへへ。そうそう。これが人間の挨拶」
握手のマナーについては、俺もかなり怪しい。ただこの場合、目下であろうカイルから手を出すのは、本来あまりよくないことだったと思う。
だがおそらく、カイルはそれを知ったうえで、先に手を出したのだろう。
神がやや腰をかがめて、カイルの手を握る。
傍から見ると、かなりぎこちない仕草に見える。
カイルがニッコリ笑って「ありがと神さま」と言い、握手が終わった。
「握手の意味、知らなかったんですか」
「ああ。見たことはあったが。正確な意味や使い方は知らなかった」
やはり。
「ねえねえ、神さま。着替えよう! それだと風邪ひいちゃうよ」
カイルが神のズボンをつまんで引っ張っている。
「いや、神さまは人間の病気にはならないんじゃないか?」
「え? そんなことないでしょ。ねえ?」
「どうだろうか。地上に降りるのは初めてなので予想が難しい。体は人間のものを使っているので、人間の病気にかかってしまっても不思議ではない」
どうやらそのあたりも調べないで降臨あそばされたようだ。
とりあえず、ビショビショのままはマズい。着替えてもらってから、国王とご対面という流れにしようと思う。
服をどうすればよいかや、対面の段取りなどはよくわからない。
そこで、まずは爺のところに相談に行くことにした。
三人プラス一匹で、廊下を歩く。
「あの。昨日の面会のときも感じたのですが。もしかして『人の神』のわりには、人間のことを知り尽くしている感じではなかったりします?」
「そうだな、細かいところまではよくわからない」
「そもそも神はそういうものだ、と思っておけば
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