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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
56話:前線総司令部
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要なことだし、組織体制をゼロから作るのは、今の帝国ではなかなかできない経験だ。憲兵隊関連の報告担当に任命して、意見具申できる立場を用意した。どうせなら色々学び取ってもらいたい。ケーフェンヒラー軍医大佐と、例の件でも意見交換をしてくれているようだし、戻す際は昇進させることになるだろう。雰囲気を変えようとしたのか、次兄が別の話題を持ちだした。

「兄上、さすがに元帥閣下より先に視察するわけにもいきませんし、ご一緒では警護の人数が多くなりすぎて現場に迷惑が掛かります。私も視察したい気持ちはありますし、幕僚たちからもせっつかれている状況です。ご多忙なのは分かりますがどうぞ良しなに」

「分かっているが、いかんせんこの基地が巨大すぎてなあ。視察のスケジュールを回すようにするから、参照して対処してくれ」

長兄は苦笑いしているが、前線総司令部の立ち上げ責任者としては視察しておかないわけにもいかないだろうし、これは致し方ないだろう。

「今回は兄弟みずいらずで、という話だったが次回はメルカッツ先輩も同席して頂こう。立ち上げ段階くらいは、司令官たちの親交を部下たちに認識させた方がよいだろう」

そんな話をしながらちょうどティーカップが空になったタイミングで、ドアがノックされ、俺の首席秘書官役のオーベルシュタイン大尉が入室してきた。どうやらお茶の時間は終わりのようだ。

「ご歓談中に失礼いたします。閣下、そろそろお時間です。副官の方々がお迎えに参っております」

そろそろ実務に戻る時間のようだ。副官といえばその任用もそれぞれの色があって面白い。長兄の艦隊司令部はどちらかというと体育会の色合いが強く、副官もそうだろうと思っていたが、さすがに元帥になり外部との接触が多い副官人事に配慮したらしい。数回会食をしたことがあるが、シュタインメッツ大尉という、場に応じた対応ができる人物を選んでいる。
一方で、次兄の副官は、レンネンカンプ大尉というかなりキッチリした人物だ。こちらも会食したことがある。最近は、『佐官になる前にもう少し威厳をもちたい。』とひげを生やすか悩んでいたはずだ。
今回は不参加のメルカッツ先輩の副官は、エースパイロットから異色の異動となったケンプ大尉だ。彼は偉丈夫でもあるが、メルカッツ先輩によると、制宙戦力の運用は、次世代艦の運用に通じるものがあるらしく、将来は幕僚のひとりにするつもりのようだ。もちろん彼とも会食した経験がある。
そう言う意味ではいろんな階級で交流を促進しても面白いかもしれない。競い合う仲でもあるが、背中を任せあう仲でのあるのだから。そんなことを考えながら自分の執務室に向かった。


宇宙歴782年 帝国歴473年 1月下旬
首都星オーディン 下級貴族住宅街 ミューゼル邸
アンネローゼ・フォン・ミューゼル


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