56話:前線総司令部
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したばかりであるため、ここで副司令長官をおくと、数年かけて引継ぎをしたにもかかわらず、軍部としてミュッケンベルガー元帥に不安があるように映りかねないという判断から、長兄は副司令長官の内示を辞退した。それを受けて、もともと計画書を上げていた、第11駐留基地の通信設備の強化やイゼルローン回廊内と出口付近の星域に、偵察衛星や通信衛星を配置して、前線の戦局をある程度統括する構想に決済が下り、その責任者に長兄を当てることになった。
関連設備が立ち上がれば第11駐留基地は前線総司令部と呼称されることになる。通信設備や情報共有の為の各種設備は12個艦隊の統括を想定したものを導入する予定だ。
演習は出来れば12個艦隊で行いたいので、その際は、宇宙艦隊司令長官にも出馬してもらって、一種の観艦式に近いものになるかもしれない。それはそれで兵士たちの士気も上がるだろうし、毎年は厳しそうだが、隔年くらいでやれれば面白いと考えている。
「それにしても、かなり色々な試みを導入したのだな。視察して回るのが楽しいほどだ。さすがに隅から隅まで視察できる身分ではなくなってしまったし、警護の者にあまり負担をかけてもな。ただ、貴賓室が6室もあるのはやり過ぎなような気もするが......」
「艦隊司令官も階級が色々とございましょう?上の者と同格の部屋を執務室にするというのは皆さま落ち着かないでしょうから。貴賓室は臨時の執務室としても使えるように作りました。色々、細かいところまで気を配っているのです」
この意見は、メルカッツ上級大将やファーレンハイト准将から出た話でもある。人が集まれば、どうしたところで派閥は出来る。階級を踏まえた違いを、ある程度演出しておいた方が、人間関係からくる衝突も減るのではないか?と提案を受け、承認した次第だ。
「うーむ。身分の問題は命令して正すわけにもいかぬ問題だからなあ。幕僚の任用権はある程度、司令官に一任されている部分もあるし、根本的な解決はなかなか難しいか......」
「はい。ルントシュテット家ではそのような教育はされませんでしたから、我らはそのような見方はしませんが、一部の方にはまだそういった感覚があるようですし、下級貴族や平民層からすると、避けられる災いは避けたいといった所でしょう」
長兄は少し渋い顔をしているが、これは無くしようがない話だと俺は思っている。仮に爵位が無かったとしても、卒業席次や出身地、配属された艦隊などで、何だかんだと軋轢みたいなものは必ず発生するだろう。そう言う意味では、オーベルシュタイン卿の提案を受け入れて、憲兵隊と警察組織をかなり余裕がある人員編成にしたことは、間違いではなかったと思う。
憲兵隊と言えば、叔父貴からケスラー中尉を一時的に預かることになった。まあ、他所で経験を積むのはキャリアを考えても必
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