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レーヴァティン
第七十四話 マルセイユからその六

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「それでもな」
「ちゃんと使うとね」
「有能な人材が入るしか」
「所謂特権階級も抑えられるし」
「取り入れるべきか」
「旗揚げをしたらね」
 是非にとだ、源三も言うのだった。そうした話をしつつだった。
 一行は治安のいい農園を通過してそうしてマルセイユにも着いた、そのマルセイユに入るとだった。
 マルセイユの賑わいを見てだ、最初に言ったのは芳直だった。
「ここも偉く賑わってるな」
「そやろ、ここもやねん」
 美奈代がその芳直に応えた。
「こうしてな」
「栄えてるんだな」
「商業とかでな」
「そうなんだな」
「うちの店もここに人やること多いねん」
「儲かるからか」
「そやで、この辺りで二番目に大きい街でな」 
 それでというのだ。
「色々なものも売ってるし」
「それでか」
「ここに人を時々送って」
「仕事してるか」
「そや、他の街に支店置くことも考えてるし」
 このこともというのだ。
「それでや」
「この街のことをか」
「よく調べてもしてるねん」
「成程な」
「商売に限界はないしな」
「働いて成功すればか」
「成功するだけ儲かる世界やからな」
 それでというのだ。
「そやからな」
「成功する為にか」
「どんどんな、調べて勉強して」
「そしてか」
「大儲けをする為にな」
「ここにも支店置く気だったんだな」
「機を見てものを出せ」
 ここでだ、こうも言った美奈代だった。
「いつもや」
「店で言っているんだな」
「そや、まさにや」
 美奈代は芳直に言った。
「機は逃すな」
「それが商売なんだな」
「そうや、それでや」
「自分も店に申し継ぎしておいたんだな」
「うちの夢はメディチ家や」
 イタリアの富豪だというのだ、二十一世紀になっても家は存在している。このことはドイツの富豪フッガー家も同じだ。
「あの家みたいにな」
「大富豪になりたいんだな」
「そや、この島で随一の商人になるんや」
「それで権勢も誇るんだな」
「そこまでは考えてないけどな」
 それでもと言うのだった。
「あそこまでの大富豪になりたいんや」
「そうか、夢は大きいな」
「日本で言うと越後屋か鴻池や」
「大商人か」
「そこまで儲けたい、どんどん儲けてや」
 そしてというのだ。
「そこからさらにな」
「儲けてか」
「この島、ひいてはな」
「この世界でもか」
「一番の商人になったるわ」
 美奈代は芳直に目を輝かせて話した。
「それで実はここでよさげなお店があったらな」
「買収か?」
「それもせいって言うてるわ」
 その様にというのだ。
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