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レーヴァティン
第七十四話 マルセイユからその二

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「全員ね」
「それも戦わずしてな」
「そう、有能な味方は一番有り難いからね」
「俺達だけで島を統一して治められるか」
「無理に決まってるわ」
 美奈代が言ってきた。
「それはな」
「ああ、官僚も必要だしな」
「そや、システムもな」
 官僚のそれもというのだ。
「必要や。お店かて大きいとな」
「人手が必要だからな」
「国はお店より遥かに大きい」
 美奈代はこの現実をシビアに指摘した。
「それやったらな」
「どうしてもだよな」
「人手が必要でや」
「人材も必要で」
「組織もや」
「統治システムってやつだな」
 久志は進みつつ言った、左右に拡がる世界は畑から果樹園になった、その果樹園では葡萄が植えられていた。
「つまりは」
「そや、やっぱり国を治めようって思ったらな」
「官僚とそのシステムが必要か」
「お店かて人がおらな動かん」
 美奈代はまた商売のことから話した。
「それでや」
「まずはか」
「有能な人材とシステムや」
「そうしたのが必要でか」
「ここの領主さんもな」
 内政を見事にしていることが領地を見てもわかる彼もというのだ。
「味方にすべきやな、有能な文官に武官、学者も技術者もな」
「全部必要か」
「そや、人材はどんどん入れてや」
 そうしてというのだ。
「その力でも島の統一を目指す、そしてな」
「海の魔神も倒すか」
「そうなるわ、そしてそれが現実になるのも」
「あと少しだな」
「いよいよ十二人揃うな」
 正は馬上から葡萄の果樹園のその濃い紫の見事な葡萄達を見ていた、そしてそのうえで久志に対して言った。
「長い時間がかかったけれどな」
「こっちの世界ではな」
「俺と御前があってこっちの世界ではどれだけ経つだろうな」
「一年位か?」
 久志は正にしみじみとした口調で答えた。
「それ位だな」
「一年か、長いな」
「あっちの世界じゃ数日位でもな」
「ああ、それでもな」
「こっちの世界じゃそれ位だな、本当にな」
 しみじみとした口調でだ、久志は言った。
「長いな」
「一年はやっぱりな」
「長いな、それでだよな」
「最後の一人だ」
「そいつを仲間にしたら」
「ローマに行くな」
「そしてな」
 久志も葡萄を見ている、見事に実っているその実達を見つつワインにしたら美味そうだと思いつつ言った。
「旗揚げだよ」
「遂にな」
「そうなるな、旗揚げをしたら」
「すぐにそうしたものを築くか」
「ああ、官僚を入れてな」
「そのシステムもな」
 それもというのだ。
「整えていくからな」
「島全体を治めていくんだな」
「領土を拡大する中でもな」 
 統一するその中でもというのだ。
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