55話:第11駐留基地
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地の改築に当たって、医療施設全般の立ち上げと運用が軌道に乗るまで、大佐待遇で出向してもらっている。
「進捗のご報告でございますが、一部内密となるものもございますので、伯のお時間を頂戴いたしました。お忙しい所、恐縮ではございますが、よろしくお願いいたします」
そう前置きをして、医療関連の報告が始まる。軍医大佐に注文したのは大きくは2点だ。ひとつ目は、最新式のリハビリ施設の立ちあげ。これは母船部分が重装甲になった背景もあり、戦闘艦の乗組員の生存率は上がったが、義手・義足になる戦傷者は一定数発生するし、回復までに長期療養を必要とする戦傷者も当然でてくる。現在はイゼルローン要塞の医療施設で対応しているが、リハビリや長期療養を必要とする戦傷者を第11駐留基地で対応し、復命できるものは、完治後に復帰、前線勤務が厳しい場合でも、帝国内で一番巨大な駐屯基地なので、後方支援に関わる部署や、外部委託している企業への就職斡旋を実施するつもりでいた。こっちは表向きの話になる。
「ご指示いただきました戦傷者のリハビリセンターですが、施設自体は既に完成し、職員たちの状況を見ながら、イゼルローン要塞から随時、対象者を受け入れていく予定です。既に受け入れは開始しており、名目上の報告書も、担当部署を通じて後日上がることになっております」
「ありがとう。色々と配慮してくれていることは分かっている。助かっているよ。陛下からも帝室を守ることに尽くしてくれた者たちへは、出来る限りの配慮をとのお言葉を頂いている。引き続き励んでくれ」
「もったいないお言葉でございます。続いて、もう一つの方ですが......」
軍医大佐はここで言葉を区切り小声になって報告を始めた。こっちはまだ関連部署には進捗報告書が上がっていない内容だ。
「定期的な健康診断の際に採血をした血液から、薬物反応の有無を並行して検査する件ですが、結論から申し上げますと、本人確認の徹底がどこまでできるかが、難問でございます。検査自体は特に難しいものではないのですが、替え玉をどう防ぐかという所で、費用対効果の良い案が無い状況です。憲兵隊や捜査機関の方に相談できれば、何か良い案が出るかもしれませんが、内密にとのお話でしたので、外部組織の人間には、まだこの話は出していない状況です」
そこだよな。後ろ暗い事がある連中が素直に採血に応じるか?という問題は当初から指摘されていたが、1000万人を越える人間の本人確認をどう効率よく進めるか?は妙案が出ていなかった。軍隊と薬物は切っても切れない関係だし、軽度な状態なら社会復帰もしやすい、麻薬撲滅の観点から見ても、密売組織のあぶりだしは対処療法だが、定期的な健康診断で薬物汚染を発見できれば、捜査の手間も省けるので、何とか実現したい話だった。
「入隊した段階から
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