55話:第11駐留基地
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駐留施設があったが、こちらは改築完了後に辺境自警軍に払い下げる予定だ。新設区画では東西に新設区画を横断する路線に隣接する2個艦隊分の駐留施設が完成しているので、計4個艦隊が駐留を開始している。2個艦隊ずつを、長兄のルントシュテット上級大将と、メルカッツ上級大将がイゼルローン回廊叛乱軍側出口の戦況に応じて率いる体制を取っている。駐留艦隊の入れ替えや、補給の面で、より効率良く出来ないかを併せて試行錯誤している段階だ。静止衛星軌道上に、武装モジュールのメンテナンス設備も増設している。
計画段階の事前予測では、これ以上の効率化を図るには軌道エレベーターの建設が必要になるという分析が出ていたが、費用対効果の面で考えると、魅力的な数字ではなかったことと、仮に破壊工作が仕掛けられた場合の被害予測が結構深刻なものだったこともあり、却下した背景がある。しばらく執務に集中していると、ドアがノックされ従卒が来客を告げる。結構集中していたようだ。思わず左手の柱時計に視線が向いた。お茶の用意と応接室に通すように伝えて、執務机に広げた資料を、センター引き出しにしまい、念のため鍵をかけてから、応接室へ向かう。ノックをしてから応接室に入ると、面談相手は慣れない敬礼をしながら迎えてくれた。
「ケーフェンヒラー軍医大佐、忙しい所をありがとう。楽にしてくれたまえ」
答礼しながら着席を促し、自分も応接セットの上座に座る。
「辺境星域全体の医療施設の立ち上げ・管理運営で忙しいのは承知しているが、この基地の医療施設に手抜かりは許されないからね。株主特権で我儘をきいてくれた事、感謝しているよ」
「とんでもない事です。父とは違う形ではございますが、ザイトリッツ様のお役に立てれば本望でございます。帝都医大の学費も、フェザーン医療大学への留学費も援助して頂いた御恩を少しでも返せればと存じております」
恐縮した様子で俺の向かいに座っているのは、ケーフェンヒラー男爵の嫡男のシュテファン卿だ。顔立ちはどちらかというと母親似だろうか?優し気な顔立ちなので、患者からすれば診察が始まった段階で安心感を感じるだろう。医学は素人だが、それだけでも医師としての才能があるように思う。彼は帝都医大を卒業後にフェザーンにも留学し、最新式の医療機器をつかった治療法まで学んでくれた。その知識を生かして、経済発展に応じた医療施設の構築をRC社で担当してくれている。
本来なら医療の現場に立ちたいところだろうが、専門的な医学と経済・経営に関わる素養がある人間となると限られてしまうため、役目を引きうけてくれた。『数億人を救える態勢を整えて欲しい』と役目を頼んだ際の俺の言葉で自分を納得させている様だが、生まれにより本来したかった生き方とは違う道を選ばせてしまった部分はあるので、申し訳ない気持ちもある。第11駐留基
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