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永遠の謎
23部分:第二話 貴き殿堂よその一
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第二話 貴き殿堂よその一

                第二話  貴き殿堂よ
 その時が来た。プロイセンから彼が来たのだった。
「殿下、あの方がです」
「来られたか」
「只今列車がミュンヘンの駅に着きました」
 こう述べられるのだった。
「それで」
「そうか。わかった」
 太子はその報告に対して頷く。彼は今青い部屋の中にいた。青と黄金の部屋の中にいてだ。そこでピアノを聴いていたのだ。それはロココ期のフランスの音楽だった。
 座っているソファーもロココのものだった。そこに座ってであった。落ち着いた優雅な服を着てだ。そのうえで話を聞いているのだった。
「それではだ」
「今からですね」
「会いたい」
 会おうではなかった。こう言ったのである。
「すぐにな」
「ううむ、殿下は」
「私は?」
「そこまでビスマルク卿を好かれているのですか」
「好きか。そうだな」
 その言葉にだ。太子はふと反応を見せて話すのだった。
「どういう訳か自分でもわからないがな」
「それでもですか」
「会いたいのだ」
 またこう言う彼だった。
「あの方とな」
「では。晩餐の場で」
「そう頼む。会うのならばだ」
「そういった場所でこそですか」
「楽しく話したい」
 それでだというのだ。太子は穏やかな顔で話すのだった。
 そしてそのうえでだ。こんなことも話すのだった。
「それでだが」
「晩餐の食卓はどうされますか」
「あの方の好きなものでいい」
「ビスマルク卿のですね」
「そうだ。ビスマルク卿のだ」
 彼のだというのである。
「それに合わせておいてくれ」
「そういえばビスマルク卿も」
 その彼の話にもなるのだった。どうかというとだ。
「殿下と同じくかなりの長身の方で」
「そうらしいな」
「そしてです」
「かなり召し上がられるそうだな」
「はい、そうです」
 その通りだというのであった。
「何でも茹で卵を十数個召し上がられ」
「そして生牡蠣を百七十個以上だったな」
「御存知でしたか」
「話は聞いている」 
 それで知っているというのであった。太子にしても愚かではなかった。それでそのうえでだ。話をしてきた侍従に話すのだった。
 そしてだ。さらに話すのだった。
「ハンバーグもお好きだったな」
「はい、そこに目玉焼きを乗せられて」
「その好みにだ」
「合わせられてですね」
「そうしてくれ。それではな」
 こうしてだった。太子もまたビスマルクとの会見のことを進めていくのだった。そのうえでだった。太子は落ち着くとワーグナーをまた聴くのだった。
 そしてだった。彼はそのワーグナーについても呟く。
「ワーグナーにもだ」
「御会いしたいですか」
「会いたい」
 是非にという口調だった
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