第四章
第37話 常識
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城の会議室。
先日砦を攻める前、軍議のために使った部屋である。
中央に少し大きめの円形テーブルがあり、そこに国王、参謀二人、女将軍、ランバート、俺の六人が座り、クロがテーブルのすぐそばでお座りしている。他の将軍については外出中であり、城にはいないとのこと。
集まってもらった目的は、もちろん神の件である。
神社での件、神が城まで来るということになったため、国王以下首脳陣に急いでせつめいせねばならなくなり、緊急で会議を開いてもらったのだ。
意外なことに、神が実在したという点については驚く者がいなかった。
神を見たことはないが、存在を疑ったこともない――この時代ではそれがスタンダードであるらしい。
クロの姿を見て霊獣降臨と信じて疑わない人が続出するくらいだ。人々の信心が深い時代なのだろう。
しかし、俺と神とのやりとりについて詳細な報告をおこなうと、すでに内容を知っている女将軍とランバート以外、皆呆れ顔となった。
何してんだお前、というような微妙な空気が会議室に充満している。
どうも、俺が神に対して取った態度が問題視されているらしい。
上座に座っている国王も、ため息をついて、片手を額に当てていた。
「まず、神降臨ということについては喜ばしいし、余も国を代表して歓迎したいと思うところであるが。お前、相変わらず危なっかしいことをするな……」
「やっぱり俺の対応っておかしかったですか?」
「そりゃそうだ。普通人間が神に説教したあげく降りてこいなんて要求するか? 無礼すぎる。ここに死体で帰ってきていた可能性もあったのではないか?」
諸葛孔明にしか見えないコスプレ参謀も追撃してくる。
「陛下のおっしゃられるとおりだ。お前のやり方はこの私ヤマモトにも全く理解できぬ。この前の襲撃事件もそうだが、なぜ自殺志願者のようなことをするのか。万一神が激怒するような展開になっていたらどうするつもりだったのだ」
「すみません。つい勢いで……」
「また得意の『勢い』か。軍事もまつりごとも勢いは大事であるが、同時に慎重さも必要である。バランスが取れていなければ参謀としては務まらぬぞ?
私ヤマモトであれば、喜んで神にひれ伏し、最大の努力をもって神の望みを見事叶え、そしてこの国の永遠の繁栄と豊穣の約束を神に取り付けたことであろう」
バランスが生まれつき崩壊していたであろう男の大言壮語は放置するとして。
ヤハラの時と一緒で、かなり危険なことをしてしまった感じか。
今度は、もう一人の参謀、ウィトスが口を開いた。
「陛下やヤマモトが言うように、君の身が危なかったということもあるけれども……。あとはこの国や、この世界の人間、そして君の時代の人間の評判にもかかわってくるからね。カテゴリの違
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