第四章
第37話 常識
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アレな感じだったので……常識がないというか。宴会のような場は大丈夫なのかなあと」
とりあえず、俺は不安しかない。
挨拶の仕方とか知っているのだろうか? 握手のために手を差し出されたときに、はたしてその意味がわかるのだろうか? ナイフやフォークの使い方を知らないんじゃないのか? フィンガーボウルの水を飲むんじゃないか? いや……そもそも神はメシを食うのか?
会ったときの神の印象だと、どんなトラブルが起きても不思議ではないような気がした。
「……」
――ん?
なぜか国王が黙ってしまった。
他の人達も全員言葉を発しないまま、沈黙が流れる。
「あれ? どうしました?」
俺がキョロキョロして聞くと、国王がこの場を代表するように口を開いた。
「リク、お前の口から『常識』という言葉が出てくるとは思わなかった……」
むむむ。
女将軍とランバートのほうから、クロが祈ったときの話も聞きたいというリクエストがあり、それもこの場で発表することになった。
一度休憩をはさみ、再び会議室に集合した。
姿が全員に見えるように、クロには椅子の上にあがってもらった。
「クロ、神社の霊獣像の前でお前が聞いたことを話してくれ」
クロに話すよう指示する。
俺もまだ聞いていない内容だ。神と一体どんなことを話したのだろうか。
「わかった」
クロが報告を始めた。それを俺が復唱して通訳する。
クロも、今回は俺と同じく面会用の空間に飛ばされた。
そこで待ち構えていたのは、やはり神だったようだ。
前回声だけの出演だったときは、神から「頼みがある」というところで中断してしまっていたので、今回はその続きから始まった模様である。
神の望みとは、失われてしまった人間と犬とのつながりを復活させること。
そしてクロに対しては「犬が人間にとって重要なパートナーとなれることを自らをもって示し、範としての役割を果たす」ことを希望しているそうだ。
具体的にどうすればよのか聞いたクロに対し、神は「すでに私の意図に沿った動きをしてくれており、絆はわずかに復活の兆しがみられようとしている。このままの調子で頑張ってくれればよい」と言ったそうだ。
そして神はクロにここまでの働きを感謝し、面会は終了となった模様である。
一同、小さく頭が上下に動いており、なるほどという顔だ。
ヤマモトが最初に口を開く。
「クロ殿が呼び出されたのも、神の意思だったということであるな」
「ええ。どうもそのようですね」
「ふむ。神がその関係の再構築を望むのであれば、こちらも何かできることがあればよいのだが」
羽毛扇で顔の下半分を隠しながら、思案するヤマモ
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