第四章
第37話 常識
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う存在に会うというときは慎重にならないといけないよ」
「評判?」
「そう、評判だ。神は頻繁に人間と面会しているわけではないんだよね?」
「ええ。俺が飛ばされた面会用の空間は、俺のように召喚された者しか呼び出せないと言っていました。話を聞く限りでは、前回人間に会ったのは九年前で、その前は二百年前まで遡るようです。地上に降りれば誰とでも面会できると思うのですが、今までそれをしたことは一度もなかったそうで……」
「なるほど。それだけ稀有なケースになるとなおさらだな。君は人間を代表して神に会ったと言ってもいいくらいの立場だったんだよ」
「代表、ですか?」
「そう。例えばだよ。いま君が交流のないずっと遠くの国の人に会うことになったとする。そうしたら、その遠くの国の人は、君を通してこの国の人間を量ろうとするだろう。君が無礼なことをすれば、この国の人間は無礼な人が多いのだなと想像してしまうわけだ。
つまり、そのケースでは君にその気がなくても、この国を代表していることになるわけだね。そういうときはいつも以上に慎重にならないといけない」
「……」
「ひょっとしたら神は、今回の君の態度を見て、君の時代の人間は、神に対して『やりたいことがあるなら降りてきて自分でやれ』と言い出す不遜な者ばかりなのかと勘違いしたかもしれないよ」
――なるほど。
俺がおかしなことをすると、神の世界における「平成の世の人間たちに対しての評判」が全体的に下がってしまうことになるかもしれないわけか……。
あの時はそこまで頭が回らなかった。
無神論者だからという言い訳は、もちろん通用しないだろう。もう少し自分の立ち位置を冷静に考えて話を進めるべきだった。
「すみません、なんか俺、何が無礼かがよくわからなくて」
「ははは。私は今回のことで君のことを低く評価するつもりはないけどね。こういう考え方もあるということで、今後の参考にしてくれればいいよ」
「まあまあ、陛下にヤマモト殿にウィトス殿。リクの態度はさておき、こうやって無事に城に帰還したわけであるし……。神も降臨なさり、敵組織との戦いに加わってくださるということであれば、流れは完全に我々にきているとみてよいと考える。めでたいことではないか」
女将軍がフォローを入れてくれた。
「そうだな。まさか神が降りてくることになるとは。楽しみで仕方ない」
今度はラウンド髭のランバートが、笑いながら感想を述べた。
俺の態度には批判が殺到しているが、神が城に来るということ自体については全員が大歓迎な模様だ。
「では宴会の用意をしておくか。余から爺に言っておく」
「あー、宴会ですか……」
「ん? 何か心配でもあるのか?」
「いや、あの神様、なんか変わっているというか、ちょっと
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