03.過去語
ー双子と王様ー
過去語ー双子と王様ー 八
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だが、其処に琴葉の姿は無く、代わりに沢山の人間の死体と手紙があった。
「"今、白猫の残りの奴等に追われてるから、人間の街に居るよ。ショッピングモール荒らして回ってると思うので、まぁ見掛けたら声を掛けてね。ショッピングモール荒らしの次は商店街で銃撃戦の予定だから、楽しみに待っててもいいかもね。"って……何此れ」
「さぁ? でも、コトだから……」
手紙を手にとって、ボソボソと話していると、
「呼んだ?」
背後から声が為て、
「「ひゃい!?」」
二人は同時に飛び上がった。
急いで距離を取って後ろを振り返ると、黒いパーカーと黒いスカートを穿いた琴葉が。フードを被り、マスクを付け、オマケに眼鏡まで付けている、一見地味な女子と言った感じだ。
「こ、コトかぁ……」
「吃驚させないでよ」
琴葉は眉を顰め、不機嫌そうな顔をするアリサ達を見て、喉の奥でクツクツと笑い声を出す。
白猫の半分が壊滅すると言う大きな事件から三年、世の中には大きな変化があった。
一つ目は、人間と人外のつり合い。琴葉が人間側の味方を止め、人外側へ回ったのと、事件の所為で、人間側の戦力が急激に落ち、人外側の戦力が一気に上がった。
二つ目は、人間と人外の一般人。どちらも人間は白猫、人外はK猫を支え、必要なら戦場に出るようになったのだ。街に敵が現れたら、直ぐに刃物で襲い、殺す。其れが今の一般人―――最早一般人と呼べないかも知れないが―――である。
簡単にまとめると、平等くらいの力で戦っていた戦争が、一般人を巻き込み、人外が有利の戦争へと変化してしまったのだ。
「んふふふ。私が悪戯好きなのは知ってるでしょ? まぁ、一応二人は組織の上の方の人だから、そんなに仕掛けられないけど」
琴葉は花畑に転がる死体に向け、「【消滅】」と言う。すると、其の躰は忽ち赤黒い膜に覆われ、消えてしまった。
「コトだったら、組織に入ったら直ぐに私と同じくらいになれるわ!」
「ううん、コトだったら、入って直ぐに幹部になれるよ。今、前幹部様が亡くなって、一席空いてるって言ってたもん」
アリサとユリアは目を輝かせ、琴葉を凝視する。琴葉は反射的に目を逸らし、手で顔を覆う。照れ隠しの様なものだ。
琴葉は人外側に回ったものの、K猫に所属している訳では無い。今は一人で人間を殺して回っているらしい。琴葉曰く、組織は沢山決まり事があるだろうから面倒臭いらしい。
人外が、彼等の街を歩く人間の彼女を殺さないのは、屹度彼女のことをしっかりと理解し、信頼しているからなのだろう。
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