暁 〜小説投稿サイト〜
ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第2話 3人のんびり帰り道
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
スは目線を逸らしてそう言った。その目は、どこか悲しさを感じさせる。

「ただ、これだけは言える。もし誰かを好きになったとしても、その想いを伝えることは出来ない」

「……そうだね。運命だから。どれだけ抗っても目の前にあり続けるものだからね」

 悲しい現実は、今もなお残り続ける。時代がどんどん理解へと向かって行こうと頑張っていても、根付いたものはそう簡単に消え去りはしない。少なくとも、エースとミストが生涯を終えるまでになくなることはないだろう。

 それはつまり、今自分の中にある想いがどのような形になろうと、それを伝えるチャンスはやってこないものである、ということだ。皆に愛されながら生き続ける少女と、疎まれながら生き続ける少年。その関係は近くとも、隔てる壁は厚い。

「そろそろ上がろうぜ。早く帰らないと夜道は大変だからな」

「ああ、そうだね。そろそろ上がるとしよう」

 重くなってしまった空気から逃げるようにして、2人揃って温泉から出る。その後きちんと体を拭いてから浴場を出て元の制服姿に着替え、男湯と女湯の分かれ道まで戻る。

 そこから見えた右前方にあるそこそこ大きめのフリースペースには、他の客も何人か見られた。

 小さな売店でコーヒー牛乳を買った2人は、近くの小さなベンチに腰掛けて休憩することにした。

「いやぁ……さっぱりしたあとはこれに限るね」

「それは違いない」

 2人揃って瓶のふたを開け、一気に飲み干したその姿。性格の違いを感じさせない程、非常によく似ている。

 似ているからといって誰かがそれを追求することはない。疑わしきは避けて歩けばよく、そもそも彼らの知り合いはここにはほとんどいないのだから、誰かが話しかけてくることはない。

 たった1人、彼女を除いて。

「お待たせー」

「お、早かったなー」

「僕らも今出たところだよ。もう少し落ち着いてから出る予定だし、スプリンコートさんも何か買って来たら?」

「じゃあ、そうするね」

 湯上がりでいつものリボンカチューシャを身に着けていないフローラに対して、空の瓶を手に持ちながら提案する2人。

 その提案に乗ったフローラが自分の飲み物を買いに行ってから程なくして、どっちがその空の瓶を返しに行くかという話をしていた。

「さて、どっちが返しに行く?」

「いつものようにじゃんけんで決めるか」

「連敗中だけど大丈夫?」

「大丈夫だよ。じゃあいくぞ、じゃーんけーんぽん」

「また僕の勝ちだね。エース行ってらっしゃーい」

「ちくしょう、これで何連敗だっけなぁ……」

 じゃんけんに負けたエースは空の瓶2本を返しに行くべく渋々立ち上がり、先ほどの店まで向かった。

 この温泉の売
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ