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ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第2話 3人のんびり帰り道
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てしまう。

 その一方で、この想いを叶えたいと思っている自分も確かに存在している。相反する2つの思いが、フローラの中でせめぎ合う。

 恋する乙女の悩みは解決する様相を見せることもなく、フローラは空を見上げながら、一人ため息を吐いていた。






* * * * * * *






 一方その頃、壁を挟んで反対側、作りは女湯と左右反対の男湯。すでに身体を洗い終えたエースとミストは、温泉に並んで浸かりながら話をしていた。

「今日も疲れたね」

「そうだなぁ……」

 こちらも1日に溜まった疲れをほぐしていくように、のほほんとした空気が流れている。いつもは互いに言い合いをすることもあるが、こうして穏やかな空気を作り出すこともある。

「そういや、今日プラントリナさん来れなかったのなんで?」

「今日は別の依頼なんだってさ。何でも、小さい子向けの魔法教室だとか」

「なるほど。確かに似合いそう。子供好きって言ってたし」

 2人の会話に出てきた『プラントリナ』という姓。普段学校にいる時には同じクラスで授業を受けることもある、セレシア・プラントリナという女子生徒のことだ。いつもは彼女を加えた4人で行動することが多いエースたちだが、彼女とて一個人である。今日のように別行動をすることもあり、必ずしも4人が揃うわけではない。

 だが、その一方で、エースとミストだけは何があっても揃ってしまう。それは彼らがすでに双子であるとバレてしまっていることの裏返しでもある。エースだけ、ミストだけが別のチームに入ることは、今はほとんどなくなった。

 フローラやセレシアのように友好的な付き合いをしてくれる人は少数だが、ならば大多数が2人のことを忌み嫌うかというと、そういうわけでもない。

 忌み嫌うのはだいたい3割ほどの生徒であり、残り7割のうち6割弱はその場に合わせて取り繕い、1割強が程度の違いはあれど友好的、という感じになっている。つまりは、敵とも味方とも言えないような存在がいるのだ。

「ねぇ、エース」

「どした?」

「君はスプリンコートさんのこと、どう思ってるの?」

「……だいぶ唐突だな」

 唐突なミストからの質問に、エースが表情を変えることはなかった。ミストの聞き方が真剣だと分かれば、エースも真剣に考えるしかない。

「そういうの、よく分からないからなー……。今はまだなんともいえない。好きなのかもしれないし、そうじゃないのかもしれない。一緒にいて楽しいとは思うけど」

「それって立派な『好き』ってことだよね」

「どうだかな。自分の中では答え出せないっぽい」

 それでも出されたエースのはぐらかすような答えにミストが苦笑交じりに言葉を返すと、エー
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