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ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第2話 3人のんびり帰り道
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ラ。もしこの言葉をミストが聞いていたならば、おばあちゃんみたいだね、と言われそうではある。

 とは言え、今の感覚を的確に言い表そうと思えば、このセリフしかなかった。


──今日も疲れたなぁ……

 夏であるため大きく開かれた天井。そこから見られる星空を仰ぎながら、フローラは色んなことを考える。

 日帰りではあったが、迷宮に3人でこもっていたフローラたち。いつもはもう一人同級生の女子がいて4人で様々な依頼をこなすのだが、その間ちゃんと役に立てているのかな、と、不安になってしまうのがいつものことであった。

 それ故に過去に1度だけ、気になって聞いたことがあった。自分はちゃんと役に立っているのか、と。

 同級生の女の子は「当ったり前でしょー」と笑顔で、ミストは「いてくれる方が安心できる」といつもの優しげな顔で、エースは「いてくれるから全力出せる」と明るい表情で言ってくれた。

 フローラにとってはその言葉が嬉しかった。

 自分が周囲からサポートのスペシャリストと言われていることは知っているが、フローラ自身は自分のことを1人では戦闘の出来ない置物のようなものだと評価している。必ず誰かについていかなければ依頼すらこなせない生徒だ、とも思っている。お化けが苦手で、攻撃魔法が使えない。他の人からしてみればそれだけでしかない要素でも、フローラ自身からしてみればスペシャリスト要素をかき消す十分なディスアドバンテージなのだ。

 それ故に、自分を頼って色んな所に連れて行ってくれることは嬉しい。それはエースたちだけではなく、他のグループの人たちと行くときも同じである。



 しかしながら、同じ嬉しさでも程度はきちんと存在する。フローラがこの嬉しさを一番よく感じるのはエースといる時だ。冒険心の強い彼は、あまり同じところに行きたがらない。遠くなればなるほど道のりは大変になるが、フローラにとってはそれでも楽しいし嬉しい。何故一番嬉しいのか、その理由は至極簡単だ。

 フローラ・スプリンコートという少女は、エース・フォンバレンという少年に片想いをしているのだ。もう3年近くにもなるその想いは、相手が世間一般で忌み嫌われる双子であろうと関係なく、ただ好きな気持ちがあれば十分だと思っているからこそ続いたもの。

 だが、その恋を成就させることは難しいことをフローラは嫌というほど分かっていた。エースに向けられている視線は、決していいものではない。悪いものが圧倒的に多い。それ故に、エースはきっと自分を受け入れることはないだろう。例え自分がなけなしの勇気を振り絞って想いを告げたとしても、だ。

 エースが優しいことを、フローラは十分に理解している。だからこそ、その切なさで心を締め付けられる。今のままの関係が一番いいんだ、とも思っ
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