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永遠の謎
225部分:第十六話 新たな仕事へその一
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第十六話 新たな仕事へその一

               第十六話  新たな仕事へ
 戦争が終わり講和もされだ。バイエルンはまずは落ち着いた。
 しかしだ。プロイセンへの感情はというとだ。
 かなりの反感を抱いていた。それは高まっていた。
 しかしだ。王はだ。 
 首相にそのプロイセン寄りのホーエンローエを任じた。このことにはだ。
 誰もが首を捻った。特に議会はだった。
「陛下はプロイセンに屈されるのか?」
「あのプロイセン贔屓のホーエンローエ卿を首相にとは」
「だが陛下はプロイセンとは疎遠の筈だ」
「それで何故だ」
 こう話されるのだった。
「あの御仁を首相にとは」
「どういうおつもりなのだ」
 議員達は首を捻る。しかしだった。
 王はそうした声には意を介さずだ。叔父の言葉を聞いていた。
 ルイトポルド公は穏やかな顔でだ。甥である王に話していた。
「まずは一安心ですな」
「戦争と講和のことですね」
「バイエルンは大きな山場を越えました」
 そのことをだ。喜ぶ言葉だった。
「幸いにして」
「そうですね。それは確かに」
「これも神のご加護ですね」
「はい。ただ」
「ただ?」
「叔父上もでしょうか」
 その叔父の顔を見てだ。王は問うのであった。
「近頃母上も仰っていますが」
「婚姻のことですか」
「戦争は終わりました」
 そのことがだ。ここでも大きく関わるのだった。
「そしてそのうえで」
「はい、落ち着きましたし」
「それで婚姻ですか」
「どう御考えでしょうか、このことについて」
 公はあらためてだ。微笑みを以て王に尋ねた。
「一体どういった風に」
「御答えしても宜しいですね」
「是非」
 この辺りのやり取りは慎重だった。王に対するものだった。
「御願いします」
「わかりました。それでは」
 断ったうえであらためてだ。王に話したのだった。
「私も王太后様と同じ考えです」
「左様ですか」
「婚姻は王の務めでもあります」
 だからだというのである。これは誰もがわかっていることであるし知っていることであった。言うならば常識というものであるのだ。
「だからこそです」
「そうですか。だからこそ」
「はい、どうされますか」
 今度は公が王に対して問うた。
「このことについては」
「考えさせて下さい」
 今はこう答える王だった。
「暫くの間」
「考えられるのですか」
「王の務めなのですね」
「はい、そうですね」
「そうですね。確かに」
 微かに、公さえ気付かない悲しい目をしての言葉だった。
「それはその通りです」
「だからこそ」
「それはどうなるか」
「どうなるかとは」
「愛がある婚姻」
 王が今言うのはだ。こうしたことだった。それを
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