機動戦士ガンダム
2191話
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ジオンに鞍替する事を決意し、建国に力を貸したのだ。
そう考えれば、俺にとってシーマが裏切るという選択肢は存在しなかった。
「へぇ……海兵隊というのは、随分と厳しい訓練をしているんですね」
シーマのいる部屋に向かう途中、海兵隊の訓練している光景を見て、アイナが呟く。
海兵隊というのは、MSパイロット以外に生身での戦闘も想定されている部隊だ。
ましてや、シーマの部下の海兵隊はその大半がマハルというコロニー出身の、いわゆるチンピラとかヤンキーとか、そんな連中が多い。
ちなみに、以前はほぼ全てがマハルの出身だったのが、大半という言葉に変わったのは……建国宣言の時の一件で、シーマを悲劇のヒロインという風に見て、クレイドルに移住してきた者達で、海兵隊に所属する事を希望する者が多かった為だ。
他にも、シーマは気の強い姉御肌の美人という事も、海兵隊を希望した者が多い理由の1つなのは間違いないだろう。
その辺りの事情で色々と不満そうな様子を見せていたシーマだったが、それでも取りあえず戦力が増えるのは悪い事ではないだろうと、こうして新人達に対して海兵隊式の訓練をしていた。
廊下を歩きながらの光景だったので、アイナに訓練を指揮している者の罵り……『お前達は豚だ、ゴミだ、クズだ!』『お前の母親は、お前のような奴を産んだ事を後悔して、今頃別の男にヒィヒィ言わされてるだろうな!』『立て、立て、立て! 走れ、走れ、走れ! お前達に出来るのは走る事だけだ、余計な事を考えるな、このクソファッキン!』といったような言葉が聞こえていなかったのは、本当に幸いだった筈だ。
ノリスの方は、声は聞こえていなくても大体どういう風なやり取りが行われているのかというのを理解しているのだろう。アイナにその声が聞こえてない事にほっとした様子を見せている。
ともあれ、そんな場所を通り……やがて俺達は、この基地の司令室。つまりシーマのいる部屋の前に到着した。
当然ながらそこにも衛兵と呼ぶべき兵士がおり、怪しい人物をシーマに近づけさせないようにしている。
海兵隊においては、シーマは絶対的なカリスマを持つ。
ラル隊のラルや、闇夜のフェンリル隊のゲラート、ガトーの率いる部隊のガトー……といったような者達と同じ感じだ。
そんな風に思っていると、兵士も俺の姿に気がつき、敬礼してくる。
「シーマはいるか?」
「は! シーマ様はいますが、現在ガトー中尉と面談中です」
「……ガトーと?」
シーマとガトーは、別に何らかの関係がある訳でもない。
コロニーに毒ガスを使った一件で、それが上層部から騙されたという事について話していたのは知ってるが、あくまでもそれだけだ。
わざわざこの基地に来て話をする事はなかった筈だが……
そんな風に思っていると、
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