スキルド
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、途中まで抜きかかった剣を鞘へと戻した。
私は拍子抜けして、剣をしまう。
彼はその場に膝と両手をついた。肩が震えている。
「駄目だ。できない。できるわけがないだろう! 俺は……お前を助けるためにヴィレントから剣を教わってきたんだ! お前を斬るためじゃない!」
彼は涙を流して叫んだ。
彼はどこまでも優しい人。私の知っている彼と、何も変わっていなかった。
だが、彼の悲痛の叫びは私の心には届かない。
彼の必死の努力は私のためだった。私を救うためだった。
でも、それは思い上がり、余計なお世話。もう私は、彼を必要としていない。
それでも、かつて彼に世話になっていたのは確かなので、私はすれ違いざまに伝えた。
「今までありがとう、スキルド」
それが、彼スキルド・ディバードと私が交わした最後の言葉だった。
ベスフルの本陣を去っていく私。
後ろを振り返ると、彼は膝をついたまま、ずっと同じ姿勢で佇んでいた。
それ以上振り返ることはせず、私はベスフル本陣を後にした。
さようなら、スキルド。
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