スキルド
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「わかってる!」
私の反論をスキルドは否定しなかった。
「どちらが悪いとかじゃないんだよ。あんなに強いヴィレントさえ、その誓いを守れなかった。俺はあいつを攻められない。でも、お前の苦しみだって、もっともなんだとわかる」
彼は続ける。
「お前達が和解するのは、もう無理かもしれない。でも、それはどちらかが悪いんじゃないんだ! お前達は不幸に見舞われる中で、ただ必死に生きてきただけじゃないか。お前達が殺し合う必要なんてないんだよ!」
彼は声を荒げて、必死に訴えた。
「チェント、俺と2人で逃げよう! ベスフル軍も魔王軍もヴィレントも、誰の手も届かないところへ! まだやり直せるはずだ!」
スキルドが右手を差し出していた。
だが、その言葉を聞いて、私はまた大きなため息を吐く。
彼はきっと本気で言っているのだろう。彼の中ではきっと、私は昔と変わらない、1人では何も決められない気弱の少女のままなのだ。
あなたがいないと何もできなかった頃の私は、もういない。
私がその手を取ることはないのだ。
それに、奥のテントで動かなくなっているシルフィの姿を、彼はまだ知らない。
妹のあの無残な姿を見ても、まだこのセリフが言えるだろうか?
「ねえ、スキルド。私、もう戻らなきゃいけないから、道をあけてくれないかな?」
スキルドの言葉を無視して、私は無慈悲にそう告げた。
彼は激しいショックを受けたようだった。
「駄目だ! 行くな、チェント! 行かないでくれ!」
彼は首を振り、両手を広げて、必死に道を塞ごうとしていた。
「あなたがどうしても通してくれないなら、無理矢理通るだけだけど?」
私は赤い剣をちらつかせて言った。それを見た彼は後ずさる。
「そんなに私を止めたいなら、力尽くで止めてみる? スキルド」
私に言われて、びくりと震えた彼は自分の腰の剣を見た。
彼は、私と剣を何度も見比べている。すぐに覚悟が決まらないようだった。
私がその気なら、この間に彼はもう斬られている。
散々迷った挙句、彼は唾を飲み込み、震えた右手をゆっくりと腰の剣に伸ばし始めた。
止められるつもりでいるの? スキルド。
私も2本の剣を構える。
そういえば今の彼は、以前の記憶の中と比べて随分逞しい体つきになったように見える。
生真面目な彼は、きっとシルフィとは違い、真剣に兄から訓練を受け続けたのだろう。
それでも、今の私に及ぶ実力とは到底思えなかった。
彼は震えたままの手で、ゆっくりと鞘から剣を抜き始める。そんな手つきではまともに戦えるとは、到底思えなかった。
私は、あえてこちらから仕掛けることをしなかった。
いつでも、かかってくればいい。
斬りかかった瞬間、倒れているのはあなたの方。
だが、結局彼は
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