54話:団欒と陰謀
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
と、金庫が開いた。金庫の中には、叔父貴から届けられた資料が入っている。ファイルを取りだして、資料の中身を確認していく。本来ならルントシュテット邸での晩餐の前に確認しておくべき話だが、叔父貴からも確認は急がなくて良いとの話だったし、初めての一族揃っての団欒を前に、暗い話は頭に入れたくなかったのもある。
前回オーディンに戻った際に叔父貴と話しあった対応策だが、台本通りブラウンシュヴァイク公爵家とリッテンハイム侯爵家から医師たちの責任追及の声があがり、関係者は死を賜っている。すでに真犯人候補にはこちらの意図は伝わっている様だ。しっかりと伝える為に医師たちと同じ末路を予定していた、真犯人候補のお気に入りのメイドの兄は、まだこの世を辞してはいない。処理するために身辺調査を再度行った際、組織ぐるみの犯行である可能性が浮上した為だ。
その追跡調査の結果が手元の資料だ。ろくでもないことが書かれているのは分かっているが、確認しないわけにもいかない。パラパラと資料の中身を確認していく、数枚の資料を確認しただけだが、ため息を3回ほどついてしまった。藪蛇じゃないが、小悪党という認識で調査したら後ろに得体の知れないものがいるのが分かったという状況だろうか。
「地球教かあ.....。どんな神を信じるかは人それぞれだけど、そもそも地球って、銀河連邦が成立する以前から収奪の象徴のはずだけど、地球出身者でもない限り入信する理由なんてあるのか?」
素朴な疑問が浮かび、思わずつぶやいてしまった。そう言えば、フェザーンでも教徒の聖地巡礼とかいう名目で、費用を抑えるために貨物船で地球に行く話も小耳にはさんだ。拝金主義のフェザーンで、なぜ収奪の象徴の地球が信仰の対象になっているのか?というか貨物船が何隻も動くレベルの教徒がフェザーンだけで存在するなら、もっと地球教の話題が出てもいいはずだ。だが、一年間のフェザーン滞在で話に出たのは空荷を防ぐための手堅い仕事として話題になったくらいだ。帝国内の教徒ならフェザーン経由で地球に行くのは、はるかに遠回りだ。という事は、叛乱軍の領域からも教徒が混ざっているのではないだろうか?なんだかきな臭い気がする。
そもそも反地球の銀河連邦が土台の帝国でも、なぜ入信するのか疑問だ。俺が思うくらいだから、叔父貴もなにか胡散臭いものを感じているだろうが、留意してもらうために私見をまとめて叔父貴に提出しておく事にする。事がことなので、通常、時節の挨拶につかう便箋に思考した内容を書き込み、同じくいつも時節の挨拶に使う少し畏まった封筒に入れてから、これもいつも通り蝋封して伯爵家の紋章を押し付けた。
こうしておけば、長年やり取りしている時節の挨拶の手紙としか、誰が見ても認識しないだろう。この話は公にして大々的に捜査できる事件ではないし、年明けにはアムリッツァ星
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ