222部分:第十五話 労いの言葉をその十二
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第十五話 労いの言葉をその十二
「オーストリアへの講和の条件はあまりにも寛大です」
「それによりオーストリアはかえってプロイセンに好感情を持ってしまいました」
「プロイセンは憂いをなくしました」
「最早敵はいません」
「フランスにとっての脅威になる」
フランス皇帝としてだ。この脅威は座視できなかった。そう話していくのだった。
そしてだ。バイエルンに対してもだった。
プロイセンがバイエルンに提示した講和の条件はだ。オーストリアに対するのと同じだけ寛大なものだった。それを見てだ。
バイエルンの者達は唖然となった。多少の賠償金と三万程度の人口を持っている地域の割譲だ。その程度だったのだ。
それを見て誰もが驚く。無論プロイセン軍の侵攻もなかった。
「これだけか?」
「何か拍子抜けだな」
「そうだな。徹底抗戦だと思ったが」
「それもないんだな」
「戦争は終わるんだな」
こうだ。話していくのだった。
「もう終わりか」
「何年もかかると思った戦争が」
「あっさりと終わったな」
「しかも我々にとってこの条件だけだ」
「殆ど失っていないな」
ただし閣僚達が交代することは間違いないと思われていた。具体的には首相がホーエンローエ、プロイセン寄りの人物になると思われたのだ。
しかしそれだけであった。そうなってだ。
彼等は落ち着いてからだ。彼等の王を見たのである。
「まさか陛下は」
「そうだな。まさかな」
「既にわかっておられたのか」
「戦争の流れを」
王がだ。この戦争のことをわかっていたのではと見たのである。
「だとすれば陛下は政治がわかっておられるのか?」
「流れを全て読まれていたのか」
「しかも的確に」
「そうされていたのか」
「だとすると」
これまで芸術と男色にのみうつつを抜かしていると思われていた王がだ。実際はどうかというのだ。そのことを考えてなのだった。
「あの方は政治的に優れた方なのか」
「ただの金食い虫のパトロンではないのか」
「戦争から逃げ回っているだけではない」
「そうだったというのか」
王に対する評価が変わろうとしていた。そしてだ。
周りの者達もだ。王に対して尋ねるのだった。
「まさかと思いますが」
「こうなることをわかっておられたのですか」
「オーストリアとプロイセンとの戦争のことを」
「全てですか」
「さてな」
あえて答えずにだ。こう述べる王だった。
「何はともあれ戦争は終わったな」
「はい、さして戦禍もなくです」
「終わりました」
「八週間で」
「そのことをよしとしよう」
微笑んでだ。こう述べるのだった。
「戦争が終わりバイエルンもあまり失わなかった」
「兵達も傷つきませんでした」
「それではですね」
「そ
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