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妖精のサイヤ人
Prologue_remake:世界は甘くなかった
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をする。それが今の私にできる、恩を返す方法だ。

「―――ちゃーん!もう集め終わったかしらー?」

「あ、はーい!多分…えと、集めました!」

少し離れたところから先生の声があった。こっちが葉っぱと花を集め終わったかの確認らしい。
手に持っている籠を見る。結構な数がある花を見て、これでお願いは達成できると思う。

けれど一応確認の為に見てもらわないと、そう思って先生の場所へ足を向けようとしたその時、近くの草原から何かの音を耳に拾った。

「えっ…?」

その音に驚き、その音が発生した草原に目を向ける。
まさか、動物だろうか?ならばリスのような可愛いのだと思いたい。

だが、そこから出てきたのは私が可愛いと思っていたリスではなく――私の髪の色と似た男の子だった。

「だ、誰…?」

目の前で出てきたであろう男の子は、私より身長が少しだけ大きい。おそらく年上だろうが…敬語を使うことを忘れて先に疑問をぶつけてしまった。
なにせ突然の登場に慌ててしまったのだ。しかも見たことのない男の子、村にこんな人は居ただろうか?


私の質問に男の子は何も答えず、ただ半目で立っているだけだ。
無視…だろうか?一応声は相手に分かるように出したはず、一応また声をかけてみるべきか。

「あの――「腹…」―――え?」

「腹…へったぁ…」

そう言って男の子は倒れて―――ええ!?

「ちょ、ちょっと大丈夫なの!?せ、せんせーい!!」

エルザ(・・・)ちゃん…?どうしたの!?」


突然の事態に私は混乱し、男の子に声を掛けるも無反応なのでこれはいよいよ危ないと思い、先生を呼ぶ。

先生は私の声に反応して駆けつけてくる。私は先生がここに駆けつけてくる草原の音をよそに私はまた倒れている男の子に目を向けて、あることを考えてしまう。

(…血が繋がった家族がいたら、私と同じ髪の色なのかな)

男の子の髪は私の緋色の髪に似ているためか、なんとなくそう思ってしまった。
先生が来るときまで私は、ただ男の子を見てどうすればいいのかオロオロするだけだった。


なんとも言えないのだが、これが私と彼の出会いだった。
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