Prologue_remake:世界は甘くなかった
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くとも目の前の男はそれを叶えさせてくれるかもしれない、とそう短時間に錯覚してしまった。
「君の死体をサンプルを決して無駄にしないことを誓おう…だから―――なんだこの魔力の流動は…!!!」
男に対して感謝の言葉を紡ぎ出そうとしたその時――男の雰囲気が変わっていくのを感じた。
紅かったそのオーラは蒼へと急変し男を包み込むようになっていき、最後に男のシルエットだけが残る。
「なんだ…何が起こって―――!?」
蒼いオーラとそのシルエットは次に剥がれ始め、男の姿が見えるようになっていく。
少年は息を呑み、静かにその光景を見入った。
その力に、その姿に。
男はその姿を完全に顕現する――紅い髪はオーラと同じ逆立った蒼い髪になり、目も同じ色へと変わっていった。
色だけではなく、男が纏う雰囲気も完全に別と化している。
さっきまでの神性とは比べ物にもならない程の神性の濃さと段違いの戦闘力。
荒ぶる蒼いオーラはまるで、その様は蒼い武神のようだと。
少年は神の姿を目にしたことはない。ただ呪いをもらったに過ぎず。
故に、神らしい姿を二度も魅せた目の前の男に言葉にできない程の感動を覚えた。
この男なら―――必ず自分を消滅してくれる、そう信じて。
「決着をつけよう…!!」
蒼き武の神は、ただ冷静に言葉を告げて構えを取るのだった。
少年――黒魔道士は歓喜に震え、己のギアも上げて目の前の男と相対する。
―――この男と黒魔道士の死闘からは100年後、未だにその土地は闘いの傷跡が残されている。
○●○●○●
「う…ううん…?」
眠っていた意識が覚めていく。
目を閉じた状態からは眩しさと暖かさを感じて、もう朝が来たとすぐに理解した。
目を半目にして開け、周りを見渡す。
どこから見ても森しかおらず、目の前は陽の光が森を避けてこっちまでに届いていた。
寝惚けていた頭から、昨晩までの記憶を起こす。
「…っと…確か昨日は森に出られないからここで野宿して…後は…ここで寝てたんだっけ…?」
一応風邪を引かないように寝る時に被っていた上着を着て、立ち上がる。
「早く村でも見つけねえと……ハァ〜腹減ったなぁ…」
溜まりきったストレスに耐えきれず、口から愚痴をこぼしてしまう。
最初に考えていたであろうスケジュールと違ってもはやハードモードと言っても過言じゃない生活を始めてから溜息をしない日々がない。
今世では実の両親に当たる父と母の顔も知らず、10歳になるまで面倒を見てくれた姉しか家族と呼べるものはいないこの生。
かといって悪いことばかりではなく、己が望んだ種族である
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