賑やかな夕食
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にすぐかもしれません」
真っ直ぐな言葉に、リアナが驚いたように目が開く。
「それは……」
問おうとして、ベルの音が鳴った。
ノックの音とともに、扉が開き――執事らしき男性が来客を告げる。
最初に話していた商談の相手だろう。
「リアナ様――お客様がいらしております」
「ええ。わかりました、すぐに向かいますので。談話室にお通しして」
問いかけた言葉を飲み込んで、リアナはナプキンで口を拭った。
「マクワイルド様、申し訳ございません。私たちは少し席を外させていただきます――ごゆっくりなさってください」
「え」
リアナの言葉に、アロンソは疑問。
商談はリアナだけであるはず。
そんなアロンソの袖を引いて立たせると、リアナは美しい一礼をする。
「あとはお若い方だけで――という奴ですわ」
「お母さまはドラマの見過ぎです」
ふふっとリアナは微笑をすれば、二人にすることに若干の不満を浮かべているアロンソをひきずるように、席を外した。
アレスとライナが目を丸くしている、その前で硬く扉が閉まった。
+ + +
「も、もう――申し訳ありません。アレス先輩、母が余計なことを」
「いや、謝ることじゃないよ」
企業のトップともなれば、時にはユーモアも必要になるのだろう。
和やかな雰囲気に隠れていたが、時折アレスに向けられる質問は鋭いものだ。
ライナに似て、非常に優秀――それでいて、相手を油断させる演技という経験もある。
ライナにとっては不本意であろうが、リアナの方が一枚も二枚も上手のようだ。
ため息を吐くライナをなだめれば、諦めたように肩を落とした。
「失礼いたします、お茶をお持ちいたしました」
ノックとともに、カートを押したメイドが足を運んでくる。
そんな姿にライナは気づいたように顔をあげた。
「アレス先輩。少しだけお待ちいただけますか」
「ああ」
アレスの頷いた姿を見ることなく、ライナはメイドの脇を通り、開いた扉から外に出る。
そんな様子に、メイドの女性は小さく微笑みを浮かべた。
だが、そんな笑みはアレスの視線に気づき、慌てたようにひっこめる。
「これは失礼しました」
「いえ。嬉しそうですね」
「はい」
素直にメイドは頷いた。
「ライナお嬢様が、あれほどの感情を見せるのは久しいことで」
「そうですね。でも」
同意するように呟いて、しかし、アレスは否定の言葉を浮かべる。
口の悪い人間は、彼女を無感情だと言いがちだ。
だが、アレスの知る限りライナは決して感情がないわけではなかった。
そもそも、最初の出会いこそ、ライナがアレスに負けたくないという強い感情の発露であったからだ。
それが表情にあまり出ないだけなの
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