賑やかな夕食
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づいた。
見れば、誰もがナイフとフォークを止めて、アレスを見ている。
何か失敗しただろうか。
そもそもコース料理など食べるのは、前世以来のことだ。
父親と住んでいた幼少の時にはコース料理など早かったし、士官学校に入ってからはコース料理など食べる機会はない。
「なにか」
「いえ。見事な作法と思いまして。どこかでお習いになったのかしら」
どうやら、あっていたようだ。
かといって、褒められるほどにナイフの扱いにたけているわけではないが。
「お世辞じゃないさ。君くらいの若さで、それだけ使えれば十分だ」
リアナの言葉に同意するアロンソに、アレスはしばらく考えて、納得する。
確かに士官学校でコース料理の作法など習うはずもない。
アレスもある程度前世でのマナーを知っていたからこそ、ナイフは外側から使う、フィンガーボールは手を洗うものといった常識を自然とできていた。
習っていなければ、あるいは戸惑っていたかもしれない。
「この人なんて、フィンガーボールをスープと勘違いしていましたのよ」
「飲んではいないぞ」
恨みがまし気な目で、アロンソはリアナを見て、小さく笑いが起きた。
「お父様の失敗は、初めて聞きました」
「あら。あなただって……」
「お、お母さま」
「ライナ候補生の失敗談か。それはぜひ聞きたいな」
「端的にだめとお願いいたします」
アレスの言葉に、ライナは首をぶんぶんと振った。
そんな様子に、リアナは少し残念そう。
運ばれてくる豪華な食事に舌鼓を打ちながら、和やかな空気が流れた。
話題は多岐にわたり、特にライナはアレスの戦場での話を聞きたがった。
最も食事中に話す話題ではなかったため、簡単なさわりだけであり、ライナは少し残念そうだ。
ライナの士官学校での話になり、そしてリアナの働く企業の話になった。
アレスも前世の記憶を思い出しながら、会話を続けるが、アレスの前世時代の話はリアナにとっては非常に興味深いものであるらしい。
多くの質問が会話となって、アレスは答えていく。
やがて、最後のデザートが食卓に並んだ。
「マクワイルド様は博識でありますのね」
「本での聞きかじりにすぎません。実際に働いてはいませんからね」
「それでも十分ですわ。どうです、転職しませんこと。マクワイルド様でしたら、そんな選択肢もあるのではないですか」
「リアナ」
冗談めかして、しかし真面目なリアナの言葉に、アロンソが眉をしかめた。
ライナも非難するように、リアナを見ている。
半分以上は、本気の言葉。
それに、アレスは苦笑――すぐに表情を整えると、リアナを見る。
「戦争が終われば、考えます」
「それは長い……ですわね」
「どうでしょう。存外
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