提督、里帰りする。その7
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差し込む朝陽に顔を照らされ、その眩しさで目が覚める。……というより、ついさっき寝始めたのに睡眠を妨害された感じだ。流石に強かに酔った状態で夜戦(意味深)の手練れ3人相手はキツかった。が、どうにか3人共KOして倒れ込むように寝息を立て始めたのは空が白み始めてからだった。
「ん〜……まだ眠いが、二度寝って気分じゃねぇな」
立ち上がって背伸びをすると、ゴキゴキと音を立てて伸びた背骨の隙間から眠気が抜けていくような気さえするぜ。足元にはまだ気持ち良さそうに眠っている金剛達の姿がある。昨日着ていた浴衣はぐちゃぐちゃになってるし、新しい浴衣を羽織って朝風呂にでも行くとするか。
大浴場に着いて、引き戸をガラリと開けると先客が湯船に浸かっていた。少し癖っ毛の緑の長髪が湯船に浸からないようにアップにしている彼女は
「あ……パパ、おはよう」
俺の姿を見つけると、にへらっと笑って顔を崩した。
「よう、早い……ってワケでも無さそうだな」
山風の顔を見ると、目の下にうっすらと隈が見える。
「うん……青葉さんと秋雲さんが五月蝿くて」
「あ〜……そりゃすまんかったな。まぁ今日はほとんど車移動だから、車の中でぐっすり寝てくれ」
「うん、そうする……」
そう返事する山風は、いかにも眠たそうにふわぁと欠伸をした。
それから1時間程経ってから漸く起きてきた金剛達と朝飯を食い、身支度を整えるのに更に2時間の時間を要した。遅くなった理由は……まぁ、あいつ等も汗だくの身体を洗いたかったからだ。そうしてようやく俺達は宿をチェックアウトした。
「darling、今日はこれからどうするの?」
「あぁ、今日はこのまま八戸に戻って皆への土産を買ったら新幹線で東京へ。そこから成田でブルネイへ飛ぶ」
「あら、一泊だけでいいの?もう少しゆっくりしても……」
「そうもいかねぇんだよ、陸奥。どうにも胸騒ぎがしてな」
なんというか、虫の報せって奴なのかね。想定外の事が起きそうな時には胸がざわついてくる。昨日の晩もお陰で集中できなくて、少しモヤモヤしてたりする。こういう時の俺の勘ってのは外れてくれればいいのに良く当たってしまう。
「そう。それなら仕方無いわね」
付き合いの長い加賀はその辺心得た物で、一も二も無く頷いていた。
「んじゃ、急ぐとすっか」
俺は金剛達に声を掛け、レンタカーに乗り込んだ。
「そういえば、お土産は何を買うんデス?」
「そこなんだよなぁ。八戸は意外と名物が多くてな……」
※八戸市
青森県の太平洋沿岸に面した都市。青森市・弘前市とならんで青森県の中核を担う都市である。新青森駅が出来るまでは東北新幹線の終着駅として青森の玄関口でも
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