第四章
第35話 神
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
だなと思ってました。全部あなたの仕業だったんですか」
「飼い犬というのは、同時に召喚された犬のことだな? 話せるようになったのはお前の能力ではなく、その犬の能力を向上させたことによるものだ。もちろん、やったのはわたしではない」
「子供にやたら懐かれるようになったのは?」
「人間の性格の個体差は、意のままに操作できるものではない。お前が気づいていなかっただけで、もともと子供に懐かれる人間だったのだろう」
「……」
「逆に、お前がそのような性質を持っていることは、お前を使う上では非常に大きなことだ。今の国王は子供だろう? その性質があれば、取り入るのに大いに役に立つ。それなりの地位の者の近くにいられるのであれば、わたしとしても使い勝手がよい」
「……子供に好かれる人なら、この世界を探せば他にいくらでもいるでしょう。なぜ俺なんですか」
おかげで俺は大変迷惑しています――そう言いたいのは何とかこらえた。
「わたしの声は、ごく一部の人間にしか聞くことはできない。
しかし召喚された人間であれば、面会の条件さえ揃えば、この場所で直接会話をすることが可能だ。お前が召喚された以上、その機能に問題がなければお前を優先して使ったほうがよいのだ」
なるほど。
この白い空間で面会をするのは、召喚した人間以外は不可能ということらしい。
しかし、使う使うって……。感じが悪すぎる。
想像していた神のイメージ像とはかけ離れすぎていた。
何もかもを知っていて、もっと友好的で、こちらの願いを聞いてくれて、そしてそれを叶えてくれる――神とはそのようなイメージだったのに。
「質問はそれだけか?」
「まだあります。トヨシマやヨネクラという人間は、あなたがこの時代に送り込んだ、そうなのですね? 他にもワープ者はいたのですか?」
「トヨシマ、ヨネクラは、確かにわたしが召喚した。お前と違い、わたしの判断で召喚した人間だ。その前にもいたが、すべてが途中で音信不通となった」
……やはり。
事前の推理通り、トヨシマやヨネクラは神の意思でワープさせられた。そして神と連絡を取り合い、指示を受けながら動いていたのだ。
そして、「過去に何度か仕掛けはしているのだが、文明のステージが上がる速度が遅すぎる」という神のコメントから、召喚の目的は『文明の停滞を解消するため』だということがわかる。
ただし、俺だけはこの神とは違う神の判断でワープさせられたらしい。そして転移してからはこの神に移管されており、トヨシマ、ヨネクラ両名と同じように使われようとしている。
どうもそのようなことらしい。
しかし。何人召喚しても音信不通になるのであれば、何かあったのかと思って、すぐに調べるのが普通だろうと思うのだが。
なぜその発
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ