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ツインズシーエム/Twins:CM 〜双子の物語〜
ツインレゾナンス
第1話 異例な双子
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にか迷宮探索をこなしていたのだった。

「まぁとりあえずここの魔物は大体片付いたし、そろそろ地上に戻ろうか。日が暮れないうちに帰れるといいけど」

「そうだなー。出来るだけ明るいうちに帰りたいな。夜はゴースト系が増えるし、そもそも魔物も生き生きしてるしなー」

「なら早く帰ってあげないとね。いやこの場合はつり橋効果を期待して遅く帰るべきか……?」

「……ホントそこんとこよく頭回るよな、ミストは」

「それが取り得なもので」

 ニコニコしながらエースの嫌味っぽい言葉にこれまた嫌味っぽい口調で返すミスト。どちらも本音でありながら、互いを信頼しているから言えるものである。生まれてから今日まで苦楽を共にしてきた、という事実が作り出した強固な信頼関係だ。

「お、光が見えてきた」

 エースを先頭に3人が地上への階段を昇り切ると、出口の先には沈みかけの夕陽が山々の間から顔を覗かせて綺麗に輝く光景があった。オレンジ色に照らされながら、3人はその光景をしばらく見つめていた。

 その間場を支配していた沈黙を破ったのは、ミストの何気ない言葉であった。

「そうだ。2人とも、今日はいつもの温泉に寄っていかない? 迷宮の中、じめっとしてたし」

 ミストの提案に、しばし考え込む2人。いつもの温泉というだけあって寄り道のしやすい場所にあり、非常に魅力的な提案ではあるが、先に帰った方がゆっくり休めるかな、という思いがエースの中には少なからずある。

「温泉かぁ……。さっぱりして帰るのもいいかもね。帰り道に魔物に出会わないといいけど」

 フローラのその言葉に同意の発言を返そうと口を開いたエースだったが、考えが音となる前にミストに発言を遮られる。

「エースには選択権ないよ」

「え? は? なんで?」

「なら逆に聞こう。エースはもしお嫁さんが温泉に行きたいと言ったら『勝手に行ってこい、俺は行かない』という薄情な男なのかい?」

「いやそれは一緒に行くけども……って何故お嫁さんの話」

「言わなくても分かれこのニブチン」

「分かるわけないだろいきなりすぎて」

 からかわれていることは分かるが、その内容までは理解できずにミストとの言い合いを繰り広げるエース。

「お、お嫁さん……」

 その横では、フローラが顔から湯気が出そうなほどに顔を真っ赤にさせたままその場で固まっていた。一言も発しないその姿を心配したのか、言い合いを止めたエースとミストが少し距離を開けながらもその顔を覗く形になる。

「おーい? 大丈夫?」

「顔真っ赤だけど」

「えっ? あっ、うん。大丈夫……です」

「なんで敬語?」

 しどろもどろになりながらも言葉を紡ぎだすフローラの姿に、首を傾げながら
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