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レーヴァティン
第七十三話 出発その八

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「あんな凶悪な虫と一緒にするなよ」
「ああ、蟷螂は確かに凶悪だな」
「この島にも大蟷螂いるだろ」
 俗にジャイアントマンティスと呼ばれる、全長四メートル程の巨大な蟷螂で当然その手には鋭い鎌がある。
「あれ思う出すからな」
「俺達にとっちゃ何でもない敵だけれどな」
「凶悪だからな」
 そう言っていい生きものだからだというのだ。
「あまり好きじゃないんだよ」
「それで言うのかよ」
「そうだよ、あれ思い出すからな」
「言うなっていうんだな」
「出来るだけな、とにかくな」
「この店か」
「ああ、いいだろ」
 久志にまたこう言った。
「何かそんな感じするだろ」
「本当に目に入っただけで言ってないよな」
「俺っちは美味い店は勘でわかるんだよ」
「美味いかどうかか」
「この店は結構以上にいいぜ」
 笑ってまた言った芳直だった。
「肉の匂いもしてきただろ」
「ああ、牛肉が焼ける匂いだな」
 久志も嗅ぎ取った、店の扉の方から牛肉しかも胡椒もよく利かせて焼かれているその味がしてきた。
「これは」
「この匂いでわかるよな」
「ああ、この店はな」
「いけるぜ」
 今度は明るく笑ってだ、芳直は久志に行った。
「だからな」
「この店に入ってか」
「肉食おうな」
「それじゃあな」
「お肉はどんどん食べるべきよ」
 留奈は是非にと言った。
「蛋白質は取らないと」
「肉は太るとか言わないんだな」
「食べ過ぎないといいのよ、カロリーが高いのをね」
「そういうことか」
「そう、例えばアメリカンな食事はね」
 留奈は自分の世界のこの食事を例えに出した。
「ハンバーガーとかフライドチキンとかばかりだと」
「よくないか」
「ああした食事ばかりして運動をしないと」
「太るっていうんだな」
「そのアメリカ人みたいにね」
「だからか」
「そう、肉料理も色々だし出鱈目に食べて運動しなかったら」 
 それでというのだ。
「いいのよ」
「俺達はいつも動いてるしな」
「冒険してね、街にいても一日何万歩も歩いてるでしょ」
「だったらか」
「むしろカロリーを摂らないと」
「駄目か」
「カロリーカロリーばかり言っても」 
 留奈は右手の人差し指を立ててやや真剣な面持ちで話した。
「よくないのよ」
「身体にか」
「そう、だからね」
「肉を食うこともか」
「いいの」
 こう久志に言うのだった。
「むしろ食べないとね」
「駄目か」
「そう、だから今このお店に入って」
「食うか、肉」
「そうしましょう」
「出来れば内臓を食べたいですね」
 夕子はこう言った。
「肝臓や心臓を」
「レバーにハツか」
「はい、内臓は身体にいいですし美味しいので」
 だからだとだ、夕子も久志に話した。
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