218部分:第十五話 労いの言葉をその八
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第十五話 労いの言葉をその八
こう述べたうえでだ。王はホルニヒに対して述べた。
「今からワインを嗜むとしよう」
「ワインですか」
「そうだ、それを飲もう」
今度はだ。それだというのだ。
「それをな。どうだろうか」
「それでは」
「そなたも付き合ってくれるか」
「陛下がお望みとあれば」
こうだ。あらたまって述べるのだった。
「私も」
「済まないな。それではな」
「いえ、私は」
「そなたは。私には媚びてはいないな」
それはわかるのだった。王はそうしたことを見抜けた。少なくともだ。彼は己の周りにだ。媚びや追従を置く様なことはしてはいない。
「それでいいのだ」
「左様ですか」
「媚も嘘なのだ」
そうだというのである。
「本心を偽っているのだ」
「だからこそですか」
「私は媚を厭う」
そのことをだ。はっきりと述べたのである。
「それよりも本心をだ」
「愛されますか」
「だからだ。今は二人で飲もう」
ここまで話してだ。あらためてホルニヒに告げた。
「いいな、それで」
「それでは」
こうしてだ。王はホルニヒと共にかけがえのない時間を過ごしていた。そうしているうちにだ。戦争は決定的な局面を迎えたのだった。
サドワにおいてだ。ビスマルクがだ。プロイセン王に対して話していた。彼は王と共にだ。この戦場に来ていたのである。
彼は己の主にこう告げていた。
「この戦場では勝利を収めます」
「そう言えるのだな」
今彼等の目の前で両軍が戦っている。戦局はオーストリア軍に有利となっている。それを見てである。王はビスマルクに対して謹厳な顔で問うたのである。
「確かに」
「はい、申し上げることができます」
ビスマルクは毅然として答えた。
「何度でも」
「ではそう言える訳を聞こう」
プロイセン王は表情を崩さずビスマルクに問うた。動くのはその見事な髭だけである。
「それは何故だ」
「私は先程参謀総長に葉巻を渡しましたが」
モルトケも来ているのだ。彼は今戦場を見据えている。顔はそこから離れることはない。鉄の如き表情でだ。自軍の戦いを見守っているのだ。
その彼を見ながらだ。ビスマルクは王に話すのだった。
「私は二本の葉巻を用意しました」
「二本だったのか」
「はい、二本です」
モルトケは葉巻を愛している。その彼にだというのだ。
「二本用意しましたが一本は悪い葉巻でした」
「そしてもう一本は」
「よい葉巻です」
その二本をだ。用意したというのだ。
「参謀総長はそのうちのよい方を迷わず手に取りました」
「そうか、いい方をだな」
「冷静にです。ですから」
「この戦いは勝つか」
「間違いなく」
こう王に話すのだった。そして彼の言葉通りだ。
サドワに
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