第四章
第34話 交信の試み
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いですよね?」
とりあえず今回は失神だけはするまい――決意が固まった。
あの時は「西から来た異国の者」だったが、今は「タイムワープで過去から来た者」に昇格? している。
次に失神したらもう何をされるかわからない。
解剖されるかもしれない。
というか、こいつらヘンタイ同士気が合いそうだし、仲良くすればいいのに、と思う。
……一緒に来ているということは、本当に仲が悪いわけではないのかな?
「へへへ、兄ちゃん人気者だね。うらやましい」
前を歩くカイルが振り返り、そんなことを言ってくる。
今の流れでそう解釈できるこいつの頭こそ、俺はうらやましい。
***
首都の神社は広い。百人で攻めのぼっても、さほどの占領感はない。
しかし国の兵士ともいうこともあり、すれ違う一般の参拝客は、みんな畏まって一礼していく。
無事に霊獣像の前に到着した。
「じゃあ最初はクロからだ、頑張ってくれ」
「ああ……」
クロが霊獣像の前に進んでいく。
暗殺対策のため、兵士は輪になって祠ごと取り囲んでいる。外からは見えないだろう。
多くの視線に晒されたまま、クロがお座りの姿勢を取って祈りを始める。
それに続き、なぜか兵士たちも両手を合わせる。
「みなさん。少し時間がかかると思いますので、楽にしていてください」
「いえ、クロ殿のお祈りがうまくいくよう祈らせて頂きます」
その状態では疲れるだろうと思い声をかけたが、近くにいた兵士はそれでも祈ると返してきた。
――お任せするか。
例の如く、クロについては「ただのペットです」と説明はしている。だがこれだけそっくりだと、もう仕方ないのかもしれない。
今度は俺が邪魔することもない。
クロの交信はうまくいくはず。
そう思いながら、クロを後ろから見守っていたが……。
クロは二〜三分で姿勢を崩し、こちらを振り返った。
「リク。待たせたな。終わった」
「え? 声は聞こえたのか? 早いな。全然待ってないぞ? また途中で切れてしまったかな?」
「声は聞こえた。途中で切れてもいない。今どれくらい時間が経ったのだ?」
クロは不思議そうに、質問を返してくる。
「どれくらいって……。せいぜい二〜三分だと思うぞ?」
「そうなのか」
「お前はもっと長い時間に感じたのか?」
「ああ。ずいぶん長い間話していたように感じた。それに……」
「それに?」
「今度は声だけではない。別の場所に飛ばされた」
「え? どういうことだ? どこに?」
「私にもよくわからない」
「少し詳しく話……あ、いや、今はいい。帰ってから詳細を聞く」
「わかった」
何が起きたのか、そして何を話
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