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永遠の謎
210部分:第十四話 ドイツの国の為にその十
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が」
 それでもだというのだ。相反するものがここで語られる。
「一人では。いられないのだ」
「人が必要ですか」
「勝手だな」
 自嘲だった。その感情だった。
「一人でいたいのに。一人を嫌うとは」
「それは」
「そして。女性を認めながら女性を嫌う」
 そのことも言ったのであった。またしても。
「私はおかしな人間だ。人が私をおかしいと言うのも」
「陛下、それは」
「言うべきではないか」
「はい」
 まさにだ。その通りだというのだ。
「そうです。それは」
「わかった。では言わないことにしよう」
「そうして頂けると宜しいかと」
「そうだな。私は多くのことを言うべきではない」
 王として。そう思ったのである。
「むしろ何も言わない方がいいのだろうな」
「何もですか」
「そうだ。だが」
「だが?」
「そなたには言いたいと思った」
 そうなったというのである。
「少しな」
「私にはですか」
「ホルニヒ」
 彼の名前も呼んだ。ここで。
「これからもそうさせてもらう」
「有り難うございます」
「では。今はだ」
「はい、今は」
「花達を見よう」
 こう彼に述べた。
「静かにな」
「わかりました。それでは」
 今はだ。戦争を避け花火を観る王だった。刻一刻と変わっていく状況の中でもだ。彼はそうしていたのだ。まるで事の成り行きがわかっているかの様に。


第十四話   完


                  2011・3・14

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