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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
52話:裁判ごっこ
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リューデリッツ伯は確かに少佐で任官いたしましたが、勅命であるイゼルローン要塞の建設に貢献した上での任官でした。ちなみに成績は首席です。一方で、失礼ながらご一門や寄り子のご子息方は下から数えたほうが早い状況です。配慮をして公表はしておりませんが、これは日頃の状況を見ていれば周囲もだいたい分かることです。
つまり軍部としては士官学校を首席卒業して誰にでもわかる功績を上げたリューデリッツ伯だからこそ少佐任官できたのに、それを成績下位の者がお二人の意向だと言って、自分たちはそれ以上に評価されるべきだと触れ回っている状況なのですよ。
もう一度言います。軍部は配慮した結果、良識に満ち溢れた返礼を頂いたと判断しております。このままいくと、今後、御二方のご一門、寄り子の皆様には軍部としては一切、配慮が出来なくなりますが宜しいのですね?当然ながら、幼年学校・士官学校でも配慮もなくなるとお考え下さい」

流れは検事役にある。一気に押しきった感じだ。とりつく暇もないというのはこういう時に使うのだろう。さてどうすることやら。

「それは困る。どうすればよいのだ。リューデリッツ伯が詫びろと言うならそのように手配するが......」

とうとう尻に火が付いたようだ。焦りだすと声が大きくなるのはブラウンシュヴァイク公爵の癖だ。そして、リッテンハイム侯爵は左膝が少し動きだす。ちらりと見ると予想通りだ。左膝だけでなく両膝が動き出していた。

「この場では軍部としての対応を話し合っております。リューデリッツ伯への対応はお二人でご相談ください。今回の件はお二人の意図ではなかったことは承りましたが、であるのであればその旨をしっかり周知させる必要があります」

「つまり公にするという事か?そんなことをされれば我らの面目が立たぬ。何とかならぬのか?」

両膝が限界に達したらしい。リッテンハイム侯爵が立ち上がって声を上げた。そんなに面子が大事なら日頃からしつけをきちんとしておけば良かったのだ。もしくは従士のひとりに定期的にお行儀を確認するでも良かった。それなら自家内での叱責で事は済んだだろうに。助けを求めての事だろう、被告役の2人が儂に視線を向ける。演劇は苦手だが、これ位のセリフなら覚えられる。

「伯、さすがにそれはお二人にとっては重すぎる話だろう。事を公にしない形で、意図とは違ったことを周知できる案があれば、御二人もご快諾頂けると思うが......」

被告たちの視線が検事役へ移った。彼らからすれば儂は弁護人に見えたかもしれんが、実際は傍聴人だ。初めから判決は決まっていた。今から判決が読み上げられる。被告達がすでに第一案を蹴った。第二案までも蹴れば、軍部はもう配慮しないという回答が来る。つまり受け入れるしかない訳だ。

「尚書閣下がそこまで言われるのであれば致
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