52話:裁判ごっこ
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ろが、士官学校や幼年学校で、ご一門や寄り子のご子息方が、軍部も我らの力を認めた。これからは我々が軍を主導するなどと触れ回っておるとか。任官したら少佐どころか少将になると言っておられる方もいるそうです。当人たちはお二人のご意向を確認している旨も触れ回っているとのこと。どのようなお考えでそのようなことを触れ回らせておいでなのか?確認したくご足労を願ったわけです」
二人の顔色が変わる。おそらく自分達の爵位継承に浮かれて、しっかりと手綱をとることを疎かにしたか、浮かれた勢いでそのようなことを口走ったのだろう。これが帝国の二大藩屏とは、物語の題材としては面白いかもしれんが、実際に自分の身に振りかかれば、嬉しくてため息しか出ない。
「それは何かの間違いではないのかな?儂はそのような指示を出した覚えはない!」
ブラウンシュヴァイク公爵が慌てて応え、自分もそうだとリッテンハイム侯爵が横でうなずく。実際に指示していなかったとしても、一門や寄り子がこういう意向だと触れ回っている以上、指示していないでは済まされないのだが。
「では、御二人のご意向だと触れ回って周囲をたぶらかそうとしたという事になりますがそれでよろしいのですね?」
シュタイエルマルク伯の目の色が変わった。こやつは門閥貴族を追い詰めるタイミングになると目の色が変わる。こうなってからの展開は何度も観てきた。自分が観客でよかったと毎回思ったものだ。他人事の儂はのんびり見てられるが、主演の当人たちはそうも言ってはいられないだろう。この話の終わり方によっては、皇族が降嫁した相手の名前を騙ったのだ。大々的に報じされれば、数年はこの二人の内々の意向という話には全て確認が必要になる。そんなことになれば面目は丸つぶれだ。さてどうなることやら。
「うーむ。ただ、我らの一門や寄り子達もガイエスブルク要塞の件では協力をした。それを誇るあまり、言葉が大きくなったのやもしれぬ。そこは我らがしっかりと注意しておくこととしよう」
リッテンハイム侯爵がなんとか無難な落としどころを提示したが、本当にこれで軍部が納得するとおもっているのだろうか?まあ、落としどころはすでにシュタイエルマルク伯と相談済みだ。変わることは無いだろう。公平な扱いをせよ。と陛下の内諾も得ている。
「今回の一件、少し軽くお考えのようですな。軍部としては、御二方に慶事ゆえ少しでも華をもたせようと配慮をした結果、良識に満ち溢れた返礼をされたと認識しております」
そこで一旦言葉を区切る。今更ながら話がそんなに簡単なものではない事と、旗色が悪いことに気が付いたようだ。裁判の開廷と言った所か、それとも裁判ごっこの始まりと言った所だろうか。
「そもそも今回の件はリューデリッツ伯から軍部として配慮をしようと提案があり行われたものです。
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