51話:次世代の面々
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がにロイエンタール卿でも表情も曇るだろう。
「まあ、今回の件は私からも取り成すし、言質も取った。叔父上の矛先は確保してあるから大丈夫だろう」
そんな話をしているうちに講義の時間が迫っている。急いて教室へ向かった。
宇宙歴779年 帝国歴470年 10月下旬
首都星オーディン 帝国軍士官学校
エルネスト・メックリンガー
「もうすぐ仕上がる」
最後の仕上げに瞳を描いて、私はデッサンを終えた。モデルを頼んだ甲斐があった。
「手付を先にもらったからな。とはいえ、デッサンモデルも思ったより大変だ。女性相手ならそうでもないんだが......」
少し疲れた表情をしながら寮で同室のシェーンコップ卿が背伸びをする。スケッチブックをのぞき込んで、
「さすがメックリンガーだ。まあ題材がいいからな」
と、ニヒルな笑顔を浮かべている。年末年始で一枚油彩画を書くつもりだったが、丁度いい題材が無く困っていた。どこか品のあるシェーンコップ卿に協力を頼んだのがきっかけで、何だかんだと寮以外でも一緒にいることが多くなった。士官学校といえば芸術に関心がある人間はいないに等しいが、意外なことに、彼は芸術への理解も深い。ただし好んでいるのかはまた別の話だが。
協力の打診をした際に、代わりに妙齢で平民出身の女性芸術家を紹介することを依頼されたのだ。数名候補がいたので、まだパトロンがついていない方を紹介したが、既に男女の仲になっている様だ。本人からは聞いていないが、紹介した女性芸術家のスケッチブックを見せられた際に誰かによく似た裸体のデッサンがあったし、やけにデッサンモデルに慣れている。
そうなることを見越してパトロンがいない方を紹介したのだが、シェーンコップ卿も帝国騎士の爵位を継ぐ身であるはずだが大丈夫なのだろうか?私の心配を察したらしい。
「爵位持ちの令嬢を傷物にしたら、問答無用で結婚させるとリューデリッツ伯に言われているからな。その辺は安心してくれ」
と言いながら私の肩を叩く。既に釘を刺されているなら構わないが......。
「それより、メックリンガー。得意なのは人物画だけなのか?風景画なんかも描いているなら一度見てみたいものだ」
「それは嬉しいが、あいにく私の作品は実家だし、今年は帰省するつもりはないからなあ」
「なあに。そのうちでいいさ、ちなみにリューデリッツ伯の伝手で手に入ったオペラのチケットがあるが、一緒にどうだ?かなり良い席だが」
また始まった。オペラのチケットは私ではなかなか手に入れる事が出来ない。私はお返しに美術館で特別展が開かれる際にはチケットを用立てる。ただし、行くときは一緒だが、帰りは別々だし、大抵外泊してくる。
オペラのチケットが口止め料込みであることも、シェーンコ
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