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永遠の謎
203部分:第十四話 ドイツの国の為にその三
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第十四話 ドイツの国の為にその三

「その言葉通りだ」
「今回もそうする」
「そういうことですね」
「その通りだ。戦争は長引かせるものではない」
 戦争そのものについても話す。
「短く終わらせるものだ」
「この戦争も」
「そうですね」
「そうだ。そしてだ」
 ビスマルクのその言葉が続けられる。
「戦争の後だが」
「オーストリアからかなりのものを得られますね」
「多くの領土に賠償金」
「それがそのままプロイセンの力になります」
「いいことです」
「いや、それはしない」
 ビスマルクはだ。ここでこう言うのだった。
「オーストリアからはあまり得ない」
「あまりですか」
「得ないと?」
「そうなのですか」
「フリードリヒ大王の様にもしない」
 かつてのプロイセン王がオーストリアからシュレージェンを手に入れたことだ。これがオーストリア継承戦争、七年戦争の主な要因となった。
 この二つの戦争はプロイセンにとってそれまでで最大の危機だった。しかしそれを乗り越えてだ。プロイセンは大国になったのである。
 そのことを話しながらだ。ビスマルクはこれからのことを見ているのだった。
 そしてその見ているものをだ。官僚達に話す。
「オーストリアとは戦い勝つ」
「それは絶対ですね」
「何があっても」
「しかし。それからは手を結ぶ」
 そうするというのだ。
「そうしなければ駄目だ」
「昨日の敵とですか」
「友人になるというのですか」
「普通ではないのか」
 ビスマルクの言葉はここでは平然としていた。
「違うか、それは」
「確かに。その通りですが」
「しかしそこまで考えられてですか」
「戦争をされますか」
「そうだ、戦争とは政治だ」
 素っ気無くすらある今のビスマルクの言葉だった。
「それならばだ。昨日、今日の相手と明日に手を結ぶこともだ」
「普通である」
「そうなのですね」
「これは今の味方にも言えることだ」
 その目が光った。鋭くだ。
「わかるな、それは」
「はい、次の戦争ですね」
「そのことですね」
「参謀総長と話をしておこう」
 その参謀総長のこともだ。話される。
「モルトケ閣下とな」
「あの方は今多忙ですが」
「それでもですか」
「無論今ではない」
 流石にだ。それはないというのだった。
「今は今の戦争に専念してもらう」
「左様ですね」
「そうされますね」
「そうする。だが」
 それでもだと。ビスマルクは考えを巡らせながら述べていく。
「この戦争が終われば。すぐにだ」
「次の戦争にですか」
「モルトケ閣下とお話をされますか」
「ドイツ帝国の為だ」
 あくまでその為だった。ビスマルクはその為に働きその為に戦争を進めて行っている。そこに私めいたも
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