第十五話 『艦娘』という存在
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載機に向けて連射し始める。
「へぇ、提督もおもしろいもん持ってるね」
「そんなこと言ってないでさっさと逃げてください」
おもしろがるようにそう言ってくる川内に凰香は撃墜しながらそう返す。
正直言って今の川内は足を引っ張るだけの存在だ。海上でどんどん敵艦載機を撃墜している初霜はともかく、川内はそう何度も撃墜できるわけではないだろう。
凰香が敵艦載機を撃ち落していると、凰香に標準を向けていた敵艦載機の装甲を不意に無数の銃弾が貫いた。
装甲を貫かれた敵艦載機は火花を散らしながら凰香の頭上を越えて海上に踊り出て、次の瞬間爆散した。またもや凰香の顔を突風が叩くも、それと同時に力強い風が後方から吹き初め、同時に羽音が聞こえた。
『こちら瑞鶴。演習場上空の艦載機を撃滅。すぐさま海上に向かわせるわ』
『こちら大淀、赤城率いる哨戒隊から入電。鎮守府近海で艦載機を発艦する空母を発見、これを撃沈しました』
耳の無線から聞こえてくる瑞鶴と大淀の声。それと同時に後方から無数の艦載機が現れ、海上へと殺到していく。
やがて海上は逃げ回る敵艦載機と、それを追い詰めて確実に撃墜していく味方の艦載機たちで溢れかえった。
さらにそこへ艤装を装備した時雨が合流してくる。
「提督、大丈夫かい?」
「ええ、どうやらあの二人は無事にやり遂げてくれてようね」
時雨の言葉に凰香はそう返す。哨戒隊が敵空母を撃沈したということは、榛名と夕立が奇襲部隊を無事に撃沈したということだ。
「間一髪だったねぇ〜提督〜」
「もう少し緊張感ってものを持ったらどうですか?」
ついさきほどまで命の危機に瀕した状況に立たされた者とは思えない発言に、凰香はそう返す。海上の敵は瑞鶴達の艦載機で一掃されるだろうで、あとは残っている艦娘の保護をするだけである。
「提督!!」
そんなことを考えていると、遠くの方から声が聞こえる。振り向くと、こちらに近付きながら手を振る初霜の姿があった。味方の艦載機が到着したことで避難してきたのだろう。
「私頑張りましたよー!!ご褒美くださーい!!」
両手をメガホンの様にして大声を出す笑顔の初霜。つい先ほどまで無数の艦載機を相手取っていた奴とは思えない発言である。
川内と言い初霜と言い、手練れほど緊張感のないヤツばかりなのだろうか?
「アホなこと言ってないで早く帰ってきてください。さっさと避難ーーーー」
そこまで言って凰香の言葉は途切れた。笑顔の初霜の後方、ちょうど味方の艦載機が敵を爆散させて黒い煙が上がる中。そこから一機の敵艦載機が飛び出し、初霜目掛けて猛スピードで突っ込んでくるのが見えたからだ。
「初霜!!後ろ!!
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