第十五話 『艦娘』という存在
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ォォォォォォォォォォンッ!!ーーーー
次の瞬間、彼女の頭上に飛んでいた敵艦載機の一つが爆散した。
「は?」
予想外のことに思わずそんな間抜けな声を出してしまい、横にいる川内は可笑しそうにクスクスと笑う。しかし、そんなことなど気にも止められない。
なにせ、初霜の砲門が火を噴くたびに敵艦載機が一つ一つと爆散して墜落していくのだからだ。
軽巡洋艦でさえ敵機をカラフルに染め上げることしか出来なかったペイント弾で、それよりも火力が劣る駆逐艦が敵機を撃墜しているなど、想像できるだろうか。いや、出来るわけがない。
するとこのカラクリに気がついたのか、凰香の頭の中に防空棲姫の声が響いた。
「あれ、単純に敵の爆弾に当ててるみたいね」
「(敵の爆弾に?)」
防空棲姫の言葉を聞いた凰香は初霜が狙い撃つ敵艦載機に視線を集中させる。
敵艦載機をよく見てみると、敵艦載機の両脇に爆弾が付いているのが見えた。
「なるほど、爆弾にペイント弾を当てて爆発させているわけか」
「そういうこと。ペイント弾が命中した時の衝撃を利用して爆弾を爆発させているわけだよ。例えばーーーー」
そう言いながら不意に川内が片腕を上げ、手に持っていた砲門を凰香の後方に向けた。それと一緒に後ろを振り向くと、ちょうどこちらに向かって機銃を向ける敵艦載機が迫ってきていた。
「ッ!」
「よッ!!」
目の前に敵が迫っているにしては気の抜けた声と共に彼女の砲門が火を噴き、同時に迫ってくる艦載機の左脇に一瞬火花が見えたかと思うと、次の瞬間艦載機は跡形もなく爆散した。
爆散によって発生した突風が凰香の黒髪を揺らす。突風により小さなツインテールが激しく揺れる川内は『そんなもの慣れた、』、と言いたげに溜め息を漏らしながら砲門を下げる。そしてにへらっとした顔を向けてきた。
「ね、出来たでしょ?」
軽い口調でそんなことをのたまってくる川内。
いや、確かに装甲を貫けないなら敵が持つ爆弾を誘爆させて撃破するのは分かった。でも、動く艦載機を打ち落とすのも難しいのになんでそれよりも小さい爆弾をやすやすと打ち抜けるんだ。初霜もそうだが、精密射撃が得意にしても限度があるはずだ。
「まぁ『艦娘』だからねー」
「その一言で納得してしまうのは私だけですかね?」
凰香が川内にそう返すと、遠くの方からブーンと言う音が聞こえてくる。
音の方を見ると、海上にいた敵艦載機が何故かこちらに向かってきていた。
「ありゃりゃ、バレちゃったかー」
川内の言う通り、敵艦載機に凰香達の存在が気づかれたのだ。
凰香はすぐさま12cm単装砲を二丁抜き取り、敵艦
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